J-REITの種類と特性

 ひとくちにJ-REITと言っても、どのような不動産を投資対象としているのかによって収益性や安定性、今後の投資口価格の見通しなどは大きく異なります。ここでは、 J-REITの種類とそれぞれの特性について学んでいきましょう。

 

 

J-REITの3つのタイプ

 J-REITの投資口価格は、市場の需給に左右されます。その需給を左右する大きな要因としては、どのような不動産を組み入れて運用しているのか、という点が挙げられます。J-REITの投資対象は、オフイスビル、商業施設、レジデンス、倉庫、介護施設、ホテルなどが挙げられます。特定の不動産に投資する「特化型」、2種類の不動産を組み合わせて投資する「複合型」、さまざまな不動産物件に投資する「総合型」に分かれます。 「特化型」とは、ホテルやオフイスビル、商業施設など、特定の種類の不動産だけ に投資しているタイプのJ-REITを指します。「〇〇主体型」などと記載されていることもあります。

 これに対し、「複合型」は、ホテルと商業施設、オフィスビルとレジデンス、といった具合に複数の種類の不動産にまたがって投資しているタイプのJ-REITを指します。 「総合型」は、その名の通り、特定の種類に限定せずにさまざまな不動産に投資を行うタイプのJ-REITのこと。特化型や複合型に比べると、幅広く分散投資をしている分だけ、値動きが比較的安定しやすいという特徴があります。

 

景気動向に左右されやすい投資対象

 一般的に、景気がよいときは不動産市況も活発で、全般的に値上がりの傾向が強まりますが、景気が後退局面に入ると、不動産市況は停滞し、それがJ-REITの投資口価格にも影響を及ぽします。J-REITが投資対象としている不動産物件のうち、景気動向に影響を受けやすいものは、オフィスビルとホテルです。 オフィスビルの場合、賃貸借契約の期間が2-5年程度と比較的短いため、景気が悪化すると、空室リスクが高まるのと同時に、賃料の減額を招く恐れがあります。 またホテルREITの場合、そのホテルを訪れる宿泊客の数が、キャッシュフローに影響を及ぼします。当然、景気が悪くなると、多くの人は旅行に行かなくなりますから、ホテルの稼働率が悪化して、キャッシュフローが悪化します。逆に、景気がよいとき は宿泊客の数が増えるため、キャッシュフローが改善されます。このように、オフィスピルとホテルは、J-REITの中で最も景気動向からの影響を受けやすいタイプなのです。

 これに対して、景気動向の影響を受けにくいものとしては、レジデンス、商業施設、倉庫、介護施設があります。

 レジデンスは居住用マンションなので、景気の良し悪しで家賃が上がり下がりする ようなことはまずありませんし、商業施設や倉庫は賃貸借契約の期間が 10年を超 えるものが多く、この間に契約内容が大きく見直されるケ 一 ス はほとんどありません。介護施設も景気の良し悪しでキャッシュフローが大き く変 動することはありません。これらの不動産物件は、景気動向に左右されにくく、比較的安定したキャッシュフロ一が得られるのです。 ですから、収益性を追求するのであれば、オフィスビル特化型か、ホテル特化型のJ-REIT を選ぶのがおすすめです。両者とも、景気のよいときに購入すれば、分配金も含めて高いリターンが期待できます。ただし、景気が後退したときには、その影響を強く受けて分配金が減ったり、投資口価格が値下がりしたりするなど、リスクが高まる恐れがあります。特化型は、投資先となる不動産物件の種類にもよりますが、基本的にハイリスク・ハイリターンだと思ってください。 これに対して、総合型はさまざまな不動産物件を組み合わせて投資するため、ホテ ルやオフイスビル特化型に比べると、リスクは下がります。 J-REITの中では、最も分散の効いたポートフォリオを持つのが総合型です。複合型は2種類の不動産物件を組み合わせてポートフォリオを構築しますが、基本的には、オフィスビルを組み入れる一方で商業施設やレジデンスを組み入れるというように、リスクと収益性を上手に平準化できる組み合わせができているかどうかがポイントになります。 

 

 

J-REITの情報を調べる方法

 2018年1月現在、株式市場に上場しているJ-REITは61本に及びます。これだけある中から投資対象を絞り込むためにはどうすればよいのでしょうか。

 J-REITについて情報を収集するうえで便利なのが、専門のポータルサイトです。 たとえば、不動産投信情報ポータル 「JAPAN REIT.com」では、それぞれの投資法人ごとの投資口価格や分配金利回り、時価総額などを一覧で見ることができます。ま た、「特化型」「複合型」「総合型」のうち、どのタイプなのか、どういった種類の不動産に特化しているのかもひと目で分かるようになっています。

 さらに、 「銘柄比較」のペ ー ジを見ると、投資主がどういった構成になっているのか、どの種類の物件をどのような割合で保有しているのか、どの地域の物件を保有しているのかといったことを円グラフで視覚化して見ることができます。 また、それぞれの投資法人のウェブサイトを見れば、基本情報はもちろんのこと、投資対象の物件や財務状況について詳細な資料が掲載されています。