委託保証金率のルー ル

 信用取引で証券会社に差し出す担保のことを委託保証金といいます。この委託保証金にまつわるルールについて整理しましょう。

 

 

委託保証金とは信用取引の担保のこと

 委託保証金には現金もしくは証券を充てることができます。株、債券、投資信託などの証券を委託保証金に充てる場合、それらは代用有価証券と呼ばれます。

 代用有価証券は値段が一定ではないので80%〜60%の掛目をかけて委託保証金としての価値を計算します。この掛目は証券会社ごとに決められます。変動リスクが高いと判断された銘柄は低い掛目の設定となりますし、実際に価格が下落すれば担保価値も下がります。また、途中で掛目が変更されてしまうこともあります。その結果担保が足りなくなって、追加保証金が求められる可能性もあります。

 信用取引で買い建てたものを賀い建玉(たてぎょく) 、 売り建てたものを売り建玉といいます。買いと売りとを合わせた建玉の合計金額(約定金額ベ一スで計算)に対する委託保証金の割合を委託保証金率(または委託保証金維持率)といいます。

 たとえば 、 委託保証金が30万円で、 建玉50万円の場合、委託保証金率は60%となります。 さらに建玉を40万円増やすと 、 建玉合計は90万円で委託保証金率は33%。さらに建玉を10万円増やすと 、 建玉合計は100万円となり、こ れで委託保証金率は30%。もうこれ以上建玉は増やせません

「委託保証金 = 0.3」という計算で 、 建玉の最大金額が計算できます。

 

*ここでは説明のために委託保証金率が60%や30%などの事例を出していますが、この率が100%以下というのはかなり危険性が高い状態です。自己資金の全てを株式にするというのもリスクがそれなりに高いのですが、それでも委託保証金率100%に該当する状況です。この率が100%以下ということは、自己資金を超えた株式を保有するリスクを抱えている状態だということを、くれぐれも認識しましょう。

 

建玉が含み損を抱えた場合の委託保証金率は

「委託保証金30万円、買い建玉100万円、委託保証金率30%」という状態で、買い建玉の株価が10%下落したとします。この場合、委託保証金率はどうなるでしょうか。 買い建玉は10万円の含み損を抱えますが、建玉は売りも買いも約定金額ベ一スで計算するので100万円のままで変わりません。

 含み損の10万円は委託保証金から差し引くことになります。ですから、委託保証金の評価額は30万円ー10万円=20万円となります。

 ということで、委託保証金率は20万円7100万円=20%ということになります。

 なお、建玉が含み益を抱えた場合には、委託保証金の評価額に変化はありません。含み損を抱えた場合だけ、その分を委託保証金の評価頷から差し引くことになっています。

 代用有価証券の価格が変動したり掛目が変更になった場合には、委託保証金の評価は増額または減額されます。

 

信用取引というのは、ようするに「借金して株を買っている」状態です。借金した株が下がっても借金は減りません。買い建玉が値下がりしても、委託保証金率の計算に使う建玉合計は約定ベ一スの金額から減ることはありません。借金は返済しない限り減らない、というのと同じ理屈です。損している金額は、あくまでも自己資金(差し入れている保証金)から差し引かれるのです。