貸借取引

 貸借取引とは、証券会社が証券金融会社から制度信用取引に必要な資金や株券を調達する取引です。その仕組みを見ていきましょう。

 

専門の金融機関を通して行われる信用取引

 証券会社は顧客から信用取引の注文を受けると、まずは自社内の勘定で対応しようとします。信用買い注文に対して融資できるお金があれば自社で融資しますし、信用売り注文に対して貸せる株を持っていればそれを貸し出します。

 しかし、融通するお金が足りなくなったり、貸し出せる株がなかったり、ということもあります。特に株については1つの証券会社が幅広く品ぞろえしておくというのは無理な話です。

 そこで証券会社は、信用取引に関する専門の金融機関である日本証券金融などに資金や株を融通してもらいます。

 日本証券金融は、大株主から株を借りるなど、幅広く株の調達ルートを持っています。

 日本証券金融は資金や株の貸付の際に、証券会社に代わって資金や株を証券取引所の決済機構に引き渡し、その見返りに買付株券や売り付け代金を受け取り、それぞれの貸付の担保に充当します。 

 

信用取引できる銘柄とできない銘柄があり、信用取引できる銘柄を信用銘柄といいます。また、信用銘柄の中でも特に日証金が扱っている銘柄を貸借銘柄といいます。一般的に信用銘柄は信用売りができませんが、貸借銘柄なら信用売りが可能です。ただし、一般信用(無期限信用)を使えば、信用銘柄でも信用売りできるケ一スもあります。

 

 

信用残、日証金残の情報の見方

 信用残とは市場全体の信用買いと信用売りの残高のことです。投資家たちの抱えている建玉の残高が合計でどのくらいあるかを個別銘柄ごとに集計したものです。毎週水曜日の夜に発表されて、翌日のデータには反映されます。

 日証金残というのは、日本証券金融により融通された融資と貸株の残高です。要するに貸借取引の残高ですので、信用取引の一部分の残高を示したものといえます。証券会社が日本証券金融を頼らずに決済したものは残高状況に入らないからです。しかし、日証金残は取引が終わったその日の夜に毎日データ更新されるので、信用残高の動向の速報値として注目されています。

 日証金残の見方としては、「貸株」は売り残、「融貿」は買い残のことです。その残高と前日比が注目されます。

 では、信用残高はなぜ注目されるのでしょうか。それは短期的な株価の需給動向を左右する要因になるからです。具休的には、

 

 信用買い残=将来の売り圧力

 信用売り残=将来の買い圧力

 

となります。基本的に信用取引は6ヶ月以内に反対売買して決済しないといけないか らです。

 通常は買い残は売り残よりも多く、平均すると3倍くらいの差になります。

 信用買い残が信月売り残の何倍あるかを信用倍率といいます。同じく日証金の買い残が売り残の何倍かを貸借倍率といいます。

 信用倍率や貸借倍率は、普通は3倍程度のものが多いのですが、1倍を切ると信用売り残の割合が多く、信用残の面から見ると短期的な需給が比較的良い銘柄であると言われることが多いものです。

 

*信用残は株価の変動要因のごく一部にすぎません。それ以上にファンダメンタルズや、現物取引による需給要因などの方が重要だということは忘れてはいけません。短期的なマネーゲームを志向する人以外は、あくまでも参考に見ておくといいと思います。