バランス型投資信託

 バランス型投資信託は、様々な資産に分散投資氏、リスクをコントロールしながら運用するタイプの投資信託です。国内外の株式、債券という4つの資産クラスを組み合わせて運用するタイプがオーソドックスですが、中にはさらに資産クラスを細分化し、国内外の不動産投資やコモディティにまで分散投資するタイプもあります。

 

 

初心者にとって分散投資のハードルは高い

 国内株式型o投資信託の場合、、基本的に投資対象は国内株式だけですし、外国株式型投資信託であれば、日本以外の外国株式が中心になります。あるいは外国債券型投資信託なら、外国債券が主要投資対象になります。

 このように、特定の資産クラスにしか投資していない投資信託で運用する場合、それ1本だけしか保有しないのは、リスク分散の観点からはあまり褒められたものではありません。例えば、国内株式型投資信託に投資したならば、同時に外国株式型投資信託や外国債券型投資信託など、異なる資産クラスを組み入れて運用する投資信託にも資産を分散させるのが常道です。

 例えば、国内株式型投資信託に50万円分投資して、外国債券型投資信託に50万円、外国株式型投資信託に100万円投資するのです。そうすることによって、特定の資産クラスが値下がりしたとしても他の資産クラスの値動き次第では、リスクを相殺できる可能性が高まります。

 ただ、全くの初心者が複数の投資信託分散投資しようとした場合、結構ハードルが高くなります。

 まず、「どの資産に、どれだけの比率で投資すれば良いのか」という点で、頭を悩ませることが想定されます。国内株式、外国株式、国内債券、外国債券といったパーツが揃っていたとしても、そもそもなんパーセントの比率で投資すれば良いのか見当がつかないと思います。

 次に、分散投資した後の資産お組み直しです。長期投資といっても、何もせずに放置したままで良いというわけではありません。リバランスと知って、定期的にポートフォリオの比率を見直す必要があります。

 複数の投資信託に投資した場合、一定の期間が経過すると中には大きく値上がりしたものと、値下がりしたものが出てきます。例えば、100万円を25万円ずつ国内株式、外国株式、国内債券、外国債券に投資する投資信託分散投資したとしましょう。1年後、それぞれの値動きによって国内株式が45万円、外国株式が35万円、国内債券が15万円、外国債券が20万円になったとしたら、調書の25%ずつ均等投資するという投資比率も変わってきます。そうなると、1年前に運用をスタートさせた時に比べて、ポートフォリオ全体のリスク・リターン特性にも変化が生じてきます。

 

リバランスとは何か

 ちなみに、このポートフォリオの1年後の資産総額は115万円で、この時の比率は国内株式が39%、外国株式が30%、国内債券が13%、外国債券が17%です。国内外の株式の比率が69%に上がっていますから、株式のリスクを取りすぎていることになりますし、それとは逆に為替リスクのある資産への投資比率が、従来の50%から30%に下がっています。もし、ポートフォリオの50%まで為替リスクを取る合理的な理由があったのだとしたら、明らかに当初の運用方針から外れたポートフォリオになってしまいました。

 したがって、定期的にリバランスを行い、当初の運用方針痛いして現状のポートフォリオを修正する必要があります。当初のポートフォリオ比率は4資産に25%ずつでしたから、合計資産総額が115万円だと、その25%は28万円です。隠しさんがこの金額になるように調整します。国内株式が45万円まで増えていましたから、ここから17万円分解約し、国内債券は25万円から15万円まで目減りしましたから、10万円を加えます。こうした作業がリバランスを呼ばれるものです。

 

 このように分散投資は、リスクをコントロールする上で大切なことではありますが、それをきちんと行おうとすると、リバランスという煩雑な作業を行う必要があります。それを個人が定期的に行うのは、それなりの手間が必要になります。

 このように考えると、個人が資産クラス別のパーツを集めて、分散投資を実践するのは意外と難しいことがわかるのではないでしょうか。

 

バランス型なら簡単に分散投資ができる

 手軽な方法として、バランス型投資信託に注目してみましょう。

 バランス型投資信託は、国内外の株式や債券に分散投資するタイプです。どの資産に、どの程度の比率で投資するのか。いつ、どのタイミングでリバランスをするのかといった点も含めて、全て投資信託会社が行ってくれます。個人が世界中の資産クラスに分散投資するにあたって、非常に便利な投資信託といって良いでしょう。個人が資産形成するにあたって、投資信託を中心にして運用するならば、バランス型投資信託を利用するのも手です。

 昔のバランス型投資信託は、国内株式と国内債券の組み合わせによって運用されるタイプがメインでした。1980年代の頃の投資信託は、株価が順調に上昇していただけでなく、まさか20年以上にわたって低迷が続くなど、誰も思っていなかったせいか、バランス型投資信託という中途半端な商品に対する関心は、ほとんどありませんでした。株価が上昇するならば、わざわざ債券に分散して期待リターンを下げる必要はない、という考え方が一般的だったのです。当初のバランス型は、株式50%、債券50%の組み合わせを「安定型」、株式70%、債券30%の組み合わせを「安定成長型」と言いました。今、このように国内株式と国内債券のみでポートフォリオを構築するバランス型投資信託は皆無です。

 ところが、日本の株式市場が低迷する最中、2000年前後から国際文才投資を投資方針とするバランス型投資信託が、徐々に出てきました。日本の株式市場が低迷する一方、海外株式市場は比較的堅調に推移したため、海外市場に資金を分散させて、より多くの投資機会を得ようという考え方がでてきたのです。したがって、今のバランス型投資信託は「グローバルバランス型」渡渉するタイプがメインで、投資対象となる資産クラスも国内株式、国内債券、外国株式、外国債券という4資産への分散投資が基本形で、これらに国内REIT、海外REITコモディティにも分散投資するタイプもあります。

 

 

*Point

 複数の資産クラスに分散投資するメリットは、仮に国内株式が大きく値下がりしたとしても、海外株式が値上がりすれば、国内株式で生じた損失を、海外株式で生じた利益によって相殺できることにあります。で箱構内株式と海外株式に分散すれば十分かというと、決してそうではありません。なぜなら、最近はグローバルに分散投資しているヘッジファンドのような機関投資家が多く、例えば海外のどこかの国で株価の急落が起こると、連鎖的に世界中で株安が進む恐れがあるからです。

 1997年のアジア通貨危機、1998年のロシア通貨危機ヘッジファンド危機、2000年のITバブル崩壊、2007年のサブプライムショック、2008年のリーマンショックなど、いずれも世界中に株安が波及していきました。

 株価が下落すると債券価格は上昇します。また、コモディティも金(GOLD)を中心にして、やはり価格は上昇しやすくなります。そのため、様々な資産に分散するグローバル分散型の投資信託が様々な投資信託会社から出されているのです。