上場投資信託と非上場投資信託

 投資信託には上場されている上場投資信託と、上場されていない非上場投資信託があります。実際に取引する際、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。

 

広義の上場投資信託と狭義の上場投資信託

 「上場投資信託」は証券取引所に投資口を上場している投資信託のことですが、広義の上場投資信託と、狭義の上場投資信託があります。

 一般に上場投資信託という場合、ETFを指すのが普通です。ETFとはExchange Traded Fundの略で、「取引所でトレードされる投資信託」のことですから、文字通り上場投資信託ということになります。

 また、取引所に投資口を上場している投資信託という意味では、J-REIT不動産投資信託)も上場投資信託ということに含まれます。REITとはReal Estate Investment Trustの略で、頭の「J」はJapanを示しています。元々は米国が主流の投資信託ですが、2001年に日本国内にREIT市場を創設するに際して、米国と区分けするためにJの文字をつけたのです。

 広義の上場投資信託については、このようにJ-REITも含まれると考えられますが、今回は上場投資信託という場合には基本的にETFを指すものと考えてください。また、ETFについては別の記事で詳しく解説しますので、ここではあくまで日上場投資信託との商品性の違いについて触れていきます。

 

 ETFは特定のインデックス、もしくは価格を連動目標とするインデックス型の投資信託です。具体的には国内外の株価インデックス、債券インデックス、金や原油などコモディティの価格が連動目標となっています。したがって、非上場投資信託の比較対象は、非上場のインデックス型投資信託(以後、インデックスファンド)になります。

 

 

ETFとインデックスファンドは何が違うのか

 さて、ETFとインデックスファンドの違いですが、基本的には大差ありません。ETFが登場したばかりの頃は、インデックスファンドに比べて信託報酬率が低いことが優位点とされていましたが、最近はインデックスファンドの信託報酬率がETF並みに引き下げられたこともあり、コスト面での優位性は失われています。

 大きく違いのは、追加設定と解約に関することです。

 追加設定とは、すでに運用が行われている投資信託に新規資金が入ってきたところで新しい資産を買い付けることです。これによって投資信託の信託財産が増えます。それとは逆に解約は、信託財産の一部を売却して解約資金を作ることです。これによって信託財産は減少します。

 ETFもインデックスファンドも、追加設定・解約によって信託財産が増減するのは同じですが、ETFの追加設定は、連動目標となるインデックスと同様の現物株式バスケットを拠出し、その代わりにETFの受益権を得るという「現物拠出型」とインデックスファンドと同じように、金銭を払ってETFの受益権を得る「金銭拠出型」があります。現物拠出型のETFを追加設定で得ようとしたら、例えば日経225平均株価に連動するETFだと、基本的に225銘柄を揃えた上で、それを拠出しなければなりません。この手の取引が可能なのは、すでに225銘柄のポートフォリオ保有している機関投資家や、その他の法人投資家になります。また、現物拠出型を解約する場合は、現物株式バスケットを受け取ります。このようにETFの追加設定・解約は、大量の現物株式の移動を伴うものなので、当然のことですが、個人で参加することはありません。そのため、ETFは投資口を上場させ、個人でETFを取引したい場合は、取引所で売買できるようにしてあるのです。

 なお、インデックスファンドの場合は前述したように追加設定は、新規資金が入ってきた後、新しい資産を買い付け、解約は信託財産の一部を売却して現金を支払うということになります。

 

 

*金銭拠出型

金銭を払い込んで追加設定し、解約時には金銭で受け取るタイプのETFです。日経225平均株価やTOPIXなどは現物拠出型なのに対して、例えばインデックスが上昇すると下落するタイプ、あるいはインデックスの上昇率に対してレバレッジがかかっているタイプ、新興国市場のインデックスなど現物株式の拠出が難しいタイプの場合は金銭拠出型になるケースが大半です。

 

機関投資家

資産運用を業務として行なっている投資家のこと。生命保険会社、投資顧問会社ヘッジファンドなどがこれに該当します。