国内株式型投資信託

 投資信託の投資対象銘柄には、株式、債券、不動産、商品(コモディティ)など様々な種類がありますが、中でも中心と言えるのが国内外の株式と債券です。ここではこれらの投資対象別に、その特徴や投資する際の注意点などを考えていきます。

 

 

株式投資信託と公社債投資信託

 投資信託はそれぞれの商品ごとに定められた約款によって、「株式投資信託」と「公社債投資信託」に分類されています。「株式投資信託」は必ずしも「株式で運用されている津市信託」ではなく、「株式を投資対象として組み入れることができる投資信託」を指すことは別の記事でも詳しく解説しました。

 しかし、同じk部式投資信託でも、主な運用対象が国内株式であるのか、外国株式であるのか、外国債券であるのかといった投資対象によって、その特徴は大きく異なります。

 

 

最大の資産規模を持つ国内株式型

 国内で設定・運用されている投資信託の中で主力となるタイプの投資信託です。投資対象は日本株で、アクティブ型とインデックス型があります。以前は毎月分配型投資信託のブームで、外国債券型の投資信託に押され気味でしたが、今は国内株式型投資信託の方がはるかに規模が大きくなっています。

 

 

アクティブ型とパッシブ型

 国内株式型投資信託は日本企業の株式を組み入れて運用します。したがって、そのリスク・リターンは、日本の株式市場に影響されます。基本的に日本の株式市場が活況で株価が上昇トレンドをたどっていれば、国内株式型投資信託の運用成績は良くなりますし、逆に株式市場が低調なら、運用成績も低迷します。

 別の記事でも詳しく解説していますが、国内株式型投資信託は運用手法の違いによって「アクティブ型」と「パッシブ型」に分かれます。パッシブ型は異なる株価インデックスに連動する複数の種類があります。日経225平均株価、東証株価指数TOPIX)、日経JPX400株価指数などがその代表です。「アクティブ型」は時価総額の大きい大型株、時価総額が小さい中小型株など企業規模別の分類、ITやAI、環境、自動運転など投資テーμ別の分類、鉄鋼や造船、流通、医薬品など業種別の分類など、様々な分類に沿って枠組みを設け、その範囲内でアクティブ運用するタイプや、この手の枠組みは設けず、自由に銘柄を選んで投資するタイプがあります。一言で「閣内株式型投資信託」といっても、運用手法や投資対象の違いによって多種多様な種類を持っているのが最大の特徴とも言えます。

 

 

バリュー投資とグロース投資

 また同じアクティブ型でもどういう観点から銘柄を選ぶかによって、「バリュー投資」と「グロース投資」に分けることができます。

 バリュー投資は、株価が割安と思われる銘柄に投資することで企業主駅やその企業が保有している純資産に対して株価が割安な銘柄をちゅ真にしてポートフォリオを組んでいきます。これに対してグロース投資は、多少株価が割高だとしても、その企業が将来も大きく成長する可能性があると思えば、そこに資金を投じていきます。どちらが正しいという問題ではありません。バリュー投資にせよ、グロース投資にせよ、銘柄を選ぶ判断基準は異なりますが、両者ともに一理あります。したがって、どちらを選ぶにしても最終的には投資信託を購入した投資家が結果を受け止めなければなりません。

 とはいえ、価格変動リスクという点を考えると、やはりバリュー投資に比べてグロース投資の方が高くなると思われます。バリュー投資はその銘柄が割安に放置されている時期にコツコツと銘柄を拾い集め、将来株価が本格的な上昇に転じた時に大きなリターンを得るという投資方法です。誰もその企業が持っている潜在的な価値に気づかない限り、株価はずっと割安で放置されたままになるというリスクはありますが、株価が急落して大きな損失を被るリスクはグロース投資に比べると相対的に低いと言えます。

 これに対してグロース投資は「成長株投資」と言われるように、東証マザーズJASDAQ市場に上場されている中小型株が主な投資対象になります。グロース投資の場合、成功すれば高いリターンが実現しますが、問題はなかなか成長する企業を見つけるのが難しいことや、将来の成長を織り込んでPERがかなり高めになることもあり、見通しが外れた時の株価の下落もきついものになりがちです。したがって、株価下落で被るリスクは、バリュー投資よりも高くなる恐れがあります。投資信託の場合、事前にバリュー投資とグロース投資のいずれかに軸足を置くのかを開示書類などに明記してあるので、事前にその投資方針の把握はしておいたほうが無難です。

 

 

*約款

契約・条約などの取り決めのこと。投資信託における約款は「投資信託約款」と呼ばれ、商品ごとに金融庁に届出がされています。

 

*開示書類

投資信託の開示書類は目論見書や運用報告書などが代表です。このうち目論見書は投資信託の運用方針、投資対象など詳細に記載されており、投資信託の購入を判断する上で欠かせない開示資料の一つです。