アクティブ型とパッシブ型の特性を理解する

 アクティブ運用とパッシブ運用の違いについては別の記事で紹介しました。パッシブ運用に比べ、アクティブ運用は投資信託によって運用の巧拙が成績の差に出やすいため、上手に運用してくれる運用担当者を選ぶ必要があります。

 アクティブ運用は、ベンチマークを上回るリターンの実現を目標にします。例えば、日経平均株価ベンチマークとするアクティブ運用の投資信託であれば、いかなる時でも日経平均株価を上回るリターンを目指すのです。

 ということは、日経平均株価などの株価インデックスに連動した運用成績の実現を目指すパッシブ運用の投資信託に比べて、アクティブ運用の投資信託の方が高いリターンでなければ、アクティブ運用の存在意義は無くなります。しかし、長期的に見れば、アクティブ運用はパッシブ運用に勝てないというのが運用の世界における常識とされています。やはり、コストが割高出ること、ファンドマネージャーの判断が常に正しいとは限らないという点が理由です。

 

 

時系列で騰落率のランキングをチェックする

 では、優勝なアクティブ運用の投資信託を見つける方法はないのでしょうか?

 100%正しいというわけではありませんが、「優秀かもしれないアクティブ運用の投資信託」を見つける方法はあると言われています。この方法は、投資信託の運用成績を時系列で集められるという前提条件つきではありますが、それさえクリアできれば、優秀なアクティブ運用の投資信託を見つけられる可能性はあります。

 

 まず、検証する対象は国内株式型の投資信託です。この時点ではアクティブ運用もパッシブ運用も混在しています。

 はじめに、直近の騰落率を調べます。これまでのスクリーニング条件からすると純資産総額が100億円以上のものに絞ります。また、できれば10年以上の運用成績を持っている投資信託が理想ですが、それだと本数が非常に少なくなるため、ここでは過去5年以上の運用成績を持っている投資信託をスクリーニングの条件に加味します。

 こうして抽出した投資信託のカッコ5年間の騰落率をランキングします。ここまでのプロセスは、エクセルを使えば簡単にできます。 

 過去5年間のランキングを見ると、一つのことに気がつくと思います。それはパッシブ運用の投資信託のランキングが近いところに集中していることです。パッシブ運用の場合、ベンチマークがあれば、ほぼ同じ騰落率になりますから、近いランキングのところに、同じベンチマークを持つパッシブ運用の投資信託が集中するのは当然のことです。

 そして、パッシブ運用よりも上のランキングにある投資信託は、パッシブ運用より優秀なアクティブ運用の投資信託だと考えられます。

 ただし、これをある特定の5年間だけで判断することは危険です。なぜなら、たまたまその5年間の相場が良かったために、アクティブ運用がパッシブ運用を上回ったという可能性もあるからです。したがって、観測期間をずらして、複数の過去5年間騰落率を検証する必要があります。そして、いくつかの期間で区切って見て、常に上位にランキングされているアクティブ運用の投資信託があれば、それはほぼ間違いなく、パッシブ運用よりも優秀なアクティブ運用の投資信託であると判断できます。

 上昇トレンドの時だけでなく、下降トレンドの時にも検証することが肝要です。

 

 

投資信託の運用成績を検証するためには、すべての投資信託の騰落率データを見つけてくる必要がありあますが、現状、個人では極めて困難です。ただ、全く方法がないわけではなく、Ibbotson(https://www.ibbotson.co.jp/)のサイトに行くと、同社が発行している投資信託の専門雑誌「投資信託事情」の購読者向けに、同社が作成している個別ファンドの純資産総額や基準価格、騰落率のデータをダウンロードできるようにしてあります。