投資信託の本数は6000本超

 現在、日本国内で設定・運用されている投資信託の本数は、6000本を超えています。

 

6000本からどう選ぶか

 投資信託の問題は、まさにこの点につきます。

 確かに、運用されている投資信託の本数が多いということは、それを購入して資産運用したい人にとって選択の幅が広がるので、それは良いことなのですが、あまりにも多いと、どれを選べば良いのかわからなくなります。結果、販売金融機関のセールス担当が売りたいと思っている投資信託を買わされたりします。

 セールス担当が売りたい投資信託は、基本的に販売金融機関にとって稼ぎになる、つまりコストが割高な投資信託です。しかも買ってから1、2年程度で解約を勧められ、別の投資信託に乗り換えさせられたりもします。これでは乗り換えの際の手数料がかさんでしまい、長期的な資産形成などできるはずもありません。

 本来、投資信託は自分で選ぶものです。しかし、自分で選ぼうとしても、6000本町の全体像が見えてこないという問題点があります。多くの場合、個人投資家投資信託の情報に接する窓口といえば、販売金融機関の窓口か、ホームページのいずれかだと思いますが、これだと販売金融機関が扱っている投資信託の情報しか得ることができず、全体像が見えてきません。

 

 

情報提供会社のホームページを利用しよう

 そこで、活用したいものが、販売金融機関以外の情報提供会社などが運営しているホームページです。これなら、運用成績や純資産総額のランキングなどを通じて、どういう投資信託が運用されていて、かつ良い運用成績を上げrているのか、多くの資金を集めているのか、といったことが、大雑把にではありますが分かります。

 ただ、これらの情報サービスは、運営会社によって情報量が異なります。最新の情報を幅広く網羅しており、かつ誰でも簡単に最新情報を入手できると思われる情報提供会社は、モーニングスターR&I(格付投資情報センターカカクコム投信まとなび、などです。まずはこの4社の情報をチェックして、投資信託という投資商品の枠組みがどうなっているのかを把握してから、具体的な投資信託選びを始めるのが良いでしょう。

 

 

投資信託を選ぶときの観点

 投資信託で資産運用しようと考えている人の多くは、「良い成績の投資信託はどれか」という観点から探そうとします。しかし、この考え方がそもそも間違いです。

 なぜなら、投資信託の運用成績は預貯金の利率とは違って、事前に確定されたものではないからです。例えば、現時点で過去1年間の運用成績が20%という、なかなか好成績な投資信託があったとします。ではこれから1年後も、同じように20%のリターンを上げられるかというと、それはなんとも言えません。30%になるかもしれませんし、マイナス20%になるかもしれません。

 つまり、現時点での投資信託の運用成績は、将来の運用成績を保証するものではないということです。したがって、現時点での運用成績の良し悪しは、必ずしも投資信託を選ぶ上での判断基準にはなりません。

 

 

「買わない方が良い」ものを見極める

 また、運用成績のランキングというものがあります。これは過去1年、あるいは過去5年というように、一定期間における基準価格の騰落率で、上位からランキングしたものです。往々にして、この手のランキングを見て投資信託を選んでしまいがちですが、過去の運用成績が将来も続くという保証はどこにもありません。単純に、過去の運用成績が高かった投資信託を選ぶのは間違いです。

 そうでなく、将来成長しそうなマーケットは何かを見定めた上で、そこに投資している投資信託を探すとか、あるいは分散投資をする上で、自分が何を今持っているポートフォリオで不足しているものを付け足すという方法で投資信託を選ぶのが正しい方法なのです。

 

 また、投資信託を選ぶプロセスは、良い運用成績の投資信託を探すことではなく、「買わない方が良い」投資信託を外していく作業でもあります。

 例えば、長期的な資産形成ができる投資信託を選ぼうとしているのだとしたら、MRFや長期公社債投資信託といった公社債投資信託は候補から外れます。そして、追加型株式投資信託だけに絞り込めば、本数は5700本程度まで減らせます。それでも5700本もありますが、この時点で300本以上を対象から外すことができました。このように、どんどん絞り込んでいけば、自ずと買うべき商品が見えてきます。

 

 

運用期間と純資産総額に注目する

 例えば、運用期間で絞り込んだとしたらどうでしょうか。ある程度、長期間運用し続けくれる投資信託を選びたいでしょうから、運用がスタートして1年程度しか経っていないものを買うのは、やはり不安です。これまで10年程度運用し続けている投資信託なら、これからも長期で運用し続けてくれるのではないかと思えてきます。

 純資産総額も重要な選択基準です。日本の投資信託は、純資産総額が10億円を割り込むと、いくら運用しても赤字要員にしかならないということで、繰り上げ償還されるリスクが高まります。そのため、純資産総額が一定水準以上のものを選ぶ必要があります。

 

 このように運用期間と純資産総額だけで一定の水準を決めておけば、それだけで投資できる投資信託の数は大幅に減らせるはずです。投資信託選びのポイントは、良い運用成績が期待できる投資信託を選ぼうとしないことでもあります。アクティブ運用の投資信託を選ぶ場合は特にそうですが、優秀なファンドマネージャーを見つけることは誰にとっても非常に難しいことです。また、いくら優秀なファンドマネージャーが運用する投資信託であっても、投資先のマーケットが悪ければ、良い成績を出すのは困難です。投資信託の運用成績は、ファンドマネージャーの運用能力以上に、マーケットの動向に左右される部分が大きいと考えるべきでしょう。

 したがって、投資信託を選ぶ際にまずやるべきことは、長期投資をするにあたって問題になる要因を取り除いておくことです。運用機関と純資産総額でスクリーニングするのは、そういう狙いがあるからです。