ブル・ベア型投資信託

 ブルは「牡牛」、ベアは「熊」。牡牛はユノを上に突き上げ、クマは両手お上から下に叩き下ろして、相手を攻撃します。そのスタイルを模して、ブルは上昇相場、ベアは下落相場を示す形容詞になりました。ブル・ベア型投資信託は、今後のマーケットが上昇するのか下落するのかを選ぶ投資信託です。

 

 

短期の値動きを取る投資信託

 ブル・ベア型投資信託は、ブル型とベア型という2つのタイプがワンセットになった投資信託で、そのいずれかを選んで購入します。その点では、選択型投資信託の一種といえます。

 ブル型もベア型も、日経平均株価東証株価指数などのベンチマークを持っており、それに連動した運用成績を目指します。その意味では、インデックス型投資信託の変形といえなくもありません。

 前述したように、ブルは上昇相場ですから、ブル型はベンチマークが上昇するほど値上がりします。逆にベアは下落相場なので、ベア型はベンチマークが値下がりすればするほど値上がりします。大半の投資信託は、組み入れ資産が値上がりして初めて基準価格が上昇し、リターンを得ることができます。もちろん組入資産が値下がりすれば、基準価格は下落します。この点、ベア型投資信託は、ベンチマークが値下がりするほど基準価格が上昇するのですから、従来の投資信託とは全く逆の値動きをします。

 この仕組みを可能にしているのが、株価指数先物取引です。ベア型投資信託は、集められた資金をコールという短期金融資産に替えます。コールは預金と同様、元本割れのしない金融商品です。これを担保にして、株価指数先物取引を売り建てます。投資信託の純資産総額が100億円だとしたら、100億円に相当する株価指数先物をうるのです。結果、株価が下落するほど基準価格が上昇する仕組みが出来上がります。

 これに対して、ブル型投資信託は、ベンチマークに対してほぼ同じ率で上昇するタイプに加え、ベンチマークに対して2倍程度のレバレッジがかかる対応もあります。例えば、ベンチマークが10%上昇したら、同じ期間で2倍のレバレッジがかかるブル型投資信託の基準価格は20%前後上昇するのです。

 

 ブル・ベア型投資信託は、その商品性格上、長期で保有するよりも、短期の値動きを捉えて値上がり益を確保するのが適しています。例えば、2倍のレバレッジがかかるブル型投資信託は前日の価格に対して2倍のレバレッジがかか流仕組みになっているため、長期間、上下動を繰り返す相場展開の中では長期的に見ると連動率が下がるという特性があるからです。

 

 例えば、次のようにベンチマークが動いたとしましょう。

 

  100→110→102→115→101→105

 

 100から105までの5%の上昇ですから、2倍のレバレッジであれば基準価格は110まで上昇しているはずです。

 では、実際に計算してみましょう。このブル型投資信託の基準価格は前日のベンチマークの上昇率に対して、2倍の連動率で動きます。すると、それぞれの値動きは、次のようになります。

 

  100→120→102→128→96→103

 

 前日に対する上昇率、下落率に2倍のレバレッジがかかるため、基準価格はベンチマークよりも値動きが大きくなるわけですが、長期間上下動が続くうちに最初の価格に対する倍率に狂いが生じてしますのです。この点からも、ブル・ベア型投資信託は、長期保有ではなく、短期の値動きを捉えるタイプと割り切るべきです。

 

 

ベア型はリスクヘッジ

 ベア型投資信託は、ベンチマークが下がるほど基準価格が上がりますから、一般の投資信託や、株式の現物を保有している人が、保有資産の値下がりリスクをヘッジするために使うことができます。

 ただ、株価指数先物取引は、その時の需給バランスによって取引価格が決まるので、非常に機動力のあるリスクヘッジができるのですが、ベア型投資信託は、他の投資信託と同じように、その日の取引が終わったところで、終値をベースにして基準価格が計算されるので、1日のうち1回しか基準価格が決まりません。仮に午前中にこれから先、株価が下落するのではないかと考えてベア型投資信託を購入したとしても、その日の終値が確定しない限り、基準価格は決まりません。そのうえ、翌営業日に株価が急騰したら、ベア型投資信託の基準価格は急落することになります。常に一歩遅れたところでしか基準価格が確定しないのは、機動的なリスクヘッジを行うには不便極まりないと言えます。

 そう考えると、ベア型投資信託を用いた株価下落局面でのリスクヘッジをしようとしても戦略上の選択肢はかなり狭まります。

 具体的に、どういう局面でのリスクヘッジに持ちられるのかを考えると、結局、短期的な株価の下落には対応できず、長期になると連動率が低下するという問題が生じてきます。したがって、ベア型投資信託の機能を活用して、有効なリスクヘッジを行おうとしたら、期間的には1週間から1ヶ月程度の株価下落時に、自分が保有している現物株式、あるいは投資信託の値下がりリスクをヘッジする目的でしか使えないという結論に至ります。もし、少しでも機動的なリスクヘッジをしたいならば、ベア型投資信託ではなく、インバース型ETFを用いた方が良いでしょう。

 

 インバース型ETFは株式と同じように、日々、マーケットが開いている間は取引ができますし、市場価格もその時の需給バランスによって決まりますから、ベア型投資信託とは比べ物にならないほど高い流動性を持っています。短期的なリスクヘッジ、あるいは短期的な値下がりを捉えてリターンを追求するならば、インバース型ETFを使うようにすると良いでしょう。

 

*インバース型

Inverseとは「逆の、反対の」という意味を持っています。そのため、ベンチマークとは逆の値動きをするという意味で、インバース型という言葉が用いられています。

 

 

参考URL

https://diamond.jp/articles/amp/84244?display=b