投資信託の価格

 投資信託の「価格」には2つあります。基準価格と市場価格です。受益証券が上場されている「上場投資信託」は基準価格と市場価格の2つがあり、「非上場投資信託」は基準価格によって売買が行われます。

 

2つある投資信託の「価格」

 投資信託には投資口と呼ばれる証券を証券取引所に上場する「上場投資信託」と、上場しない「非上場投資信託」があります。

 通常、投資信託という投資商品について言及する場合には、「非上場投資信託」を指します。

 

 投資信託というのは価格変動商品ですから、今の価格(時価)が必ず存在します。ただし、上場投資信託と非上場投資信託では価格の概念が違います。

 上場投資信託の主なものとしてあげられるのがETFJ-REITです。上場投資信託の場合、投資口が証券取引所に上場され、そこで自由に売買されます。結果、株価と同じように市場の需給バランスによって決まる価格があります。これが「市場価格」です。市場価格は上場市場が開いている間、常に変動しています。そして上場市場で売買される場合は、この市場価格によって取引をします。

 もう一つの価格は「基準価格」です。基準価格は受益権1口当たりの純資産総額を指しています。純資産総額は投資信託に組み入れられている資産の時価総額に債券の利金、株式の配当金を加味し、信託報酬や監査費用などをのコストを差し引いた金額です。つまり、追加設定や解約が全くなく、受益権口数が全く変わらないという前提であれば組み入れ資産が値上がりすれば純資産総額は増え、1口当たりの純資産総額である基準価格は値上がりします。

 非上場投資信託の場合は「市場価格」は存在しません。こうした場合は全てこの基準価格で購入・解約されます。

 

 

基準価格の値付けは1日1回だけ

 投資信託の市場価格は取引が開いている最中、常に需給のバランスに応じて変動します。これに対し、基準価格は1日の取引が終了した時点で、組入銘柄を終値ベースで時価評価し、算出されます。したがって基準価格の値がつくのは1日に1回だけです。

 そのため、非上場投資信託を購入・解約する場合、例えば午前中に注文を出した場合でもいくらの傷ん価格で取引されたのかわかるのはその日の夕方になります。海外の投資信託の場合はさらに複雑になります。時差があるためです。

 この点、上場投資信託では市場価格での取引ですので、今、市場で提示されている金額で取引できます。価格の透明性という意味では上場投資信託の方が有利と言えます。