投資信託とはなにか

 投資信託は個人が資産形成をする上で最も使い勝手が良い投資商品です。少額で購入でき、つみたて投資も可能。基本的に長期保有で臨むべきですが、いつでも簡単に解約できます。今回は、投資信託とはどういう商品なのか考えていきたいと思います。

 

 

投資信託の特徴は3つ

 投資とは、何に投資するか、どういうタイミングで売買するかを、すべて自分の判断と自己責任に基づいて行うものというイメージがありますが、多くの人は常にマーケットを見ていられるわけではありません。

 例えば株式投資の場合、東京証券取引所での取引時間は、午前9時から午後3時まで。株式投資を生業としているプロの投資家なら、常にリアルタイムで動いているマーケットに張り付き、株式や為替、コモディティを売買することもできますが、日中他に仕事をしている大半の人にには不可能です。そこで投資信託を利用するわけです。

 投資信託は、私たちの代わりにプロの運用者が投資対象を選び、売買のタイミングを判断して運用してくれます。そして、運用によって得られた収益は、投資信託を購入した個人の持分に応じて分配されます。言い方を変えると、投資信託を購入することによってプロの運用者を雇っていることと同じことになります。

 

 その投資信託には3つのメリットがあります。

 

 第一にプロに運用を委任できること。運用のスタイルは様々ですが、投資信託ファンドマネージャーと呼ばれる投資信託資金の運用・管理を行う人がいて、大勢の人から集めた資金を責任を持って運用してくれます。個別株では自分で銘柄を選び、売買のタイミングを計って売り買いをしなければなりません。この点、投資信託はプロがその判断を代わってやってくれるのです。

 ただし、プロだから絶対に損をさせないというわけではない点には注意が必要です。長く続いた低金利時代のため、多くの銀行がそれまでの貸出金利による収益が得られなくな理、株などの投資をして結果多くの含み損を抱えた話はあまりに有名です。週刊ダイヤモンドで銀行危険度ランキングなどまで出る始末です。仮にどんなに優秀なファンドマネージャーでもマーケットが大きく下落する局面で高いリターンを維持することは困難です。したがって、プロに運用を委任するわけですが、損失を出すリスクがある点には留意しておくべきです。

 

 第二に、幅広い分散投資が可能になること。投資信託は大勢の人から資金を集めるため、仮に一人につき100万円でも、1万人から集めれば100億円の資金になります。

 もし、手元にある100万円で株式投資をする場合は銘柄にもよりますが、2、3銘柄程度になると思われます。でも、投資信託は自分が拠出した資金は100万円でも大勢の人から集めた資金をひとまとめにして投資しますから、それこそ1万人から集めたら100億円という巨額の資金で投資できます。当然、数十銘柄に投資することができますし、株式や債券など複数の資産クラスに分散したり、あるいは世界中の株式市場に資金を分散して投資したり出来るようになります。そしてそのように幅広く資金を分散すれば、価格変動リスクを多少なりとも軽減できます。

 

 そして第三には、小額の資金で購入できること。投資信託の最低購入金額はかつては1万円からが主流でしたが、今は積み立て投資を利用すれば100円から購入できる投資信託もあります。その分だけ、手軽に本格的な国際分散投資が可能になったりします。

 

 

高齢者の保有率が高いわけ

 投資信託協会が行っている「投資信託に関するアンケート調査」(2016年12月)によると、対象となった2万サンプルのうち、現在、投資信託を所有している率は16%に留まり、かつ現在所有している層の年齢をみると、20代が4.9%、30代が10.9%、40代が15.6%、50代が15.9%、60代が28%、70代が24.7%という結果になりました。

 このパーセンテージを見ればわかるように、投資信託保有者はリタイヤメント層が中心です。これは、年齢別に見た金融資産の保有比率と関連があると思われます。総務省が公表している「家系調査報告書」の2016年分で、年齢階層別貯蓄分布状況を2人以上の世帯で見ると、60代に30.3%、70代に38.1%が分布しています。両者で68.4%にも達しており、その一方で30代未満の分布が0.3%、30代が3.7%、40代が10.6%という結果になっています。要するに高齢者ほどお金を持っているということです。

 金融機関からすれば、ビジネスとして投資信託販売を考えたときに、当然のことながらより大きなお金を持っている高齢者を相手にしたほうが、より大きな手数料を稼げます。結果、金融機関は60代、70代という高齢者に対して、積極的に投資信託を販売する傾向があり、それが投資信託保有者の年齢層に現れていると言えます。

 

 販売元、ここでは金融機関ですが、その思惑を推察することは非常に重要です。特に老後資金問題が世間を騒がせて以降、若い世代を取り込もうとする思惑が働くことは必至です。金融機関オススメの商品を買うだけでは芸がありません。実際には買うべき投資信託はほとんど決まっています。

 

 当ブログでは投資信託には毎月iDecoとつみたてNISAの5,6万円程度を積み立てることを想定しているため、しっかりと理解した上で定番商品を選び、できる限り手間を省略しつつ、次の投資ステップへ進むことを推奨します。