投資信託のリスク

 投資にはリスクがつきものです。これは投資信託に限ったことではありません。ここでは投資信託のリスクについて確認しましょう。

 

投資のリスクの種類

 価格変動リスクとは、投資した金融商品の資産価格が影響を受けるリスクのことです。「円」と「外貨」の交換相場である為替相場は、外国為替市場によって変動するため、外貨建ての金融商品には、為替変動により予想を上回る損失が生じるリスクがあります。

 カントリーリスクとは海外の投資先において国の政治・社会状況の不安定化や混乱などによって、資金の回収が困難になることです。また、その影響によって、市場に大きな混乱が生じ、投資した商品の価格が変動することによって損失を被るリスクのことです。

 信用リスクとは、有価証券の発行者や取引先の経営・財務状況が悪化した場合、またはそれが予想された場合に当該有価証券等の価格が下落することやその価値がなくなること、または利払いや償還金の支払いが滞るなどの債務が不履行になることを指します。

 流動性リスクとは、株式や債券などを換金しようと思った時に、市場に十分な需要や供給がないために、市場ですぐに売却できなかったり、希望した価格で売れなかったりするリスクのことを言います。

 投資は貯蓄と異なり、元本が保証されていません。預金より高いリターンが期待できる一方、こうしたリスクがあることを念頭に置いておきましょう。

 

 

投資信託を買ったお金の行き先

 投資信託を買う時、多くの人は銀行や証券会社などの販売金融機関の窓口に行くか、もしくはインターネットを通じて購入するでしょう。投資信託会社が仕組みを整えているならば、直接販売という方法で等信託会社から直接買うという方法もあります。

 

 それでは、投資信託を買ったお金はどこに行くのでしょうか?

 例えば日本株式に投資する投資信託を100万円分購入したとしましょう。投資信託なので、集まったお金は基本的に全額、投資に回されます。この場合では日本株式に投資され、投資信託を買った人たちは間接的に日本株式を保有することになります。

 

 では、買った日本株式はどこに保管されるのでしょうか?

 販売金融機関か、投資信託会社、どちらなのでしょう。実はどちらでもありません。投資信託で買い付けた株式を保管・管理しているのは信託銀行です。投資信託が買い付けた株式は信託銀行の名義になって、信託銀行の名の下に保管・管理される仕組みになっています。

 ただ、投資信託に組み入れられている株式の名義人は信託銀行であり、株式名簿には信託銀行の名義で掲載されていますが、投資信託会社が運用の指図権を持っているので、議決権に関しては投資信託会社が信託銀行に指図し、信託銀行は投資信託会社の指図に基づいて議決権を行使しています。

 

投資信託の安全性

 日本のバブル経済が崩壊し、不良債権などで銀行の経営体力が大きく損なわれたとき注目されたのが「預金保険機構」でした。

 預金保険機構とは、日本の預金保険法に基づいて設立されている認可法人で、預金保険の提供がその主たる業務です。

 預金保険制度とは、それに加入している銀行、信用金庫、労働金庫商工中金などが経営破綻した時に、破綻金融機関の資産を引き継ぐ受け皿金融機関に対して資金援助を行うことによって破綻処理が円滑に進むよう支援したり、あるいはペイオフといって、預金保険機構が破綻金融機関に代わって、一定金額を上限に預金の払い戻しに応じたりする制度です。金融機関の破綻処理に関しては、仮にペイオフ適用という事態になっても預金者のお金は一定金額まで保全されるということです。

 そこで問題になるのが、この一定上限の金額がいくらなのか、ということです。預金保険で保護される範囲は、当座預金および利息のつかない普通預金については全額保護されます。そして利息のつく普通預金、定期預金、定期積金、元本補填契約のある金融信託については、金融機関ごとに預金者一人につき元本1000万円までと、破綻日までの利息が保護の対象になります。

 つまり、私たちが普段使っている銀行預金については、元本1000万円までと、利息分だけが保護されることになります。実際にはそれを超える工学の資金を預けている方もいるでしょうが、最悪の場合、この額を超える分はカットされる恐れがあります。

 

 

 では、投資信託の場合はどうでしょうか?

 投資信託会社が倒産した場合、あるいは販売金融機関が破産した場合はどうなるのでしょうか。投資信託預金保険の対象外です。

 

 しかし思い出してください。投資信託で株式を保有・管理しているのは信託銀行です。つまり、投資信託会社や、販売金融機関が破綻しても、それによって投資信託が戻らなくなるケースはありません。

 

 

 では、信託銀行が破綻した場合はどうでしょうか?

 この場合も、投資信託の組み入れ資産は、信託銀行の資産からは切り離されて管理される「分別管理」が行われてい流ので、組み入れ資産は保全されます。

 

 ただし、投資信託会社や販売金融機関が破綻した場合には、運用の継続という点においては支障をきたします。

 投資信託会社が破綻した場合にはその投資信託を引き継いでくれる他の投資信託会社が現れない限り、その投資信託「繰上償還」されます。

 また、販売金融機関が破綻した場合、その投資信託が複数の金融機関から販売されていた場合は、他の金融機関に移管させることができます。ただし、1社でしか販売されていない場合は、破綻金融機関の資産を引き継ぐ健全な金融機関が了解しない限り、やはり繰上償還の対象になることも考えられます。

 

 ちなみに、投資信託会社や販売金融機関の経営破綻によって投資信託が繰上償還された場合、その償還日時点の基準価格によって解約資金が計算されます。投資信託は日々基準価格が変動していますから、自分が購入した時に比べて基準価格が下がっていれば含み損の実現によって損失が出ることになります。