質問と回答

質問

 会社四季報は最初から1銘柄ずつ見た方がいいのでしょうか、あるいはPERなどの条件でスクリーニングしてあらかじめ対象を絞った方がいいのでしょうか。

 

回答

 最近は証券会社のwebサイトで、設定した条件に合う銘柄をスクリーニングすることもできます。会社四季報の場合はCD-ROM版でスクリーニングができます。確かにそれも、銘柄選択の方法としてはある程度の有効性はあると思いますし、何しろ作業の負担はだいぶ軽くなります。 しかし、投資チャンスというのは、業績PER、株価チャート、定性面(会社四季報ではコメント欄の内容)、財務の安全性などの諸条件から、さまざまなパターンがありえます。

 「3つの基本」という基本コンセプトをもって銘柄選択しても、各条件の組み合わせのパターンはかなり多彩になります。 そして、銘柄選択という作業は、それらの点を総合的に勘案して行うものですし、その投資家ならではの観点や勘も合わせて行われるものです。また、そのような総合的な判断力や勘は、いろいろな銘柄の情報を直に見て経験を積むことで鍛えられていく面があります。

 ということで、さまざまな情報に手作業で触れていく形を基本とすることをお勧めします。スクリーニング的な機械的な作業は、その補助として使う、と認識していただきたいと思います。

 会社四季報を手作業で全銘柄ザッとチェックするのは、最初は面倒くさい作業だと思いますが、面倒くさいなりに成果が出る作業でもあります。また、作業を重ねるうちにスピードは早くなり、しかも成果も出やすくなって楽しくなってくるものです。ぜひ、最初は自分を鍛えるつもりでチャレンジしてください。

 

 

質問
 銘柄探しにはどのくらいの時間を割けばいいのでしょうか。

 

回答

 特に決まりはありません。各自のご事情によって決めていただくしかありません。作業時間の長さより大切なことは、決めた作業を何年にもわたってコツコツと続けることです。毎日でも毎週でも3ヵ月ごとでもいいので、決めた作業を続け、できれば習慣にしてしまうことです。 そのためには、無理なく楽しみながら続けられる作業量を各自考えてみてください。作業量よりも、「楽しみながら、続ける」ということが何より大事です。

 

 

 

質問

 会社四季報で見つけた銘柄は、ものすごく業績が良く、上プレもしていて、PERも低いものです。それなのに、その株を買っても全然値動きしません。こういうこともあるのでしょうか。

 

回答

 それだけ条件が揃っていれば、一般的には株価が上昇する確率は高そうです。しかし、いくら好条件が揃っていても、すぐに株価が上がらないこともありますし、上がらないまま下がっていってしまうこともあります。

 その原因としては、

  1. 表面化していない悪材料を抱えている
  2. 会社の良い材料が事前に株価に織り込まれてしまっている
  3. 全体相場の状況があまりにも悪くて、その影響を受けている

などが考えられます。

 会社四季報の予想が外れることもありますし、表に出ていない悪材料があるケ一スもありますので、どんなに条件が良い株を見つけても、1つの銘柄に集中投資せずに、適度に分散することが大切なのです。

 また、欄外の矢印が上向きであるなど、業績の上ブレ、サプライズがあるように見えても、それがある程度株価に織り込まれてしまっているケ一スもあります。特に、事前に株価がだいぶ上がっている場合などは、その会社の状態の良さが株価に織り込まれてしまっている可能性は高まります。

 ただし、2や3のケ一スでは、その株が本当に良い株で上昇余地がまだ大きいならば、少しタイムラグをおいて株価が上昇してい<ことも多々あります。ですから、「この株はまだ上昇する可能性が高い」と判断したら、その時に上がらなくても保有し続けるか、ウォッチし続けて次のチャンスを探しましょう。

 

 

質問
 PERは実績PER、今期予想PER、来期予想PERなどいくつかありますが、どれを使えばいいのでしょうか。

 

回答

 どのPERも重要ですが、将来のPERほど重要です。しかし、将来のPERほど予想の確度と信ぴょう性は下がります。実績PERは終わったばかりの期のPERで確定した業績に基づくPERなので確度は最大限に高いのですが、あくまでも過去のデータなので重要性は低くなります。

 ということで、一長一短ありますが、基本的には今期予想PERを中心に見つつ、来期予想PERも重視する、というのがオーソドックスな考え方だと思います。