PBR

 PBRは資産から見た株の割安さを測る指標です。それを使う際のコツや注意点について見ていきましょう。

 

 

確実な収益力を前提として使う指標

 PBRは「株価÷1株純資産」で計算し、株価が1株純資産の何倍かを見ることで株の割安さを考えるものです。

 1株純資産とは、純資産を発行済株数で割ったものです。

 純資産は総資産から負債を差し引いたもので、株主が権利を持つ資産のことであり、会社が解散すれば株主に返されるものです。

 つまり、1株純資産は会社が解散した場合に投資家に返還される1株あたりの金額ということになり、解散価値と呼ばれることもあります。

 

 しかし、純資産は額面通りに価値があるとは限りません。

 会社の保有資産の中には、設備や機械のように売却してもあまり現金にならないものがあります。また、のれんや繰延税金資産というように、資産の実態があいまいなものもあります。

 これらの資産にはもちろん価値があるのですが、あくまでも事業を継続的に営んで、それらの資産を利用して利益を生み出していくという前提で価値を発揮するもの、と考えられます。そのため、会社の事業が不調に陥れば価値を失い、逆に重荷になる可能性もあります。

 また、仮に現金などの内容の良い資産を多く持っていても将来性が暗くて、今後赤字を垂れ流す状態が続きそうな会社であれば、せっかくの資産を食いつぶしてしまう危険性もあります。

 以上のことを考えると、企業価値を考える上では収益力が大事であり、PBRはあくまでも参考データとして見ていくのがいいでしょう。

 

 

* PBRは資産面からの割安さを見るかなり箇単な指憬です。自己資本比率が70%以上でPBRが1倍を大きく割り込んでいるようなら、資産面から見た割安さは結構大きい可能性がありますが、そうした判断をするには、 資産や負債の内容を詳細に調べる必要があります。

 

 

 

PBR= 1倍は優良企業の株を買うーつのメド

 事業基盤が強くて将来も安定していると予想できる優良企業の場合は、 PBR が 2〜3 倍やそれ以上になっている状態が普通です。しかしその場合、「PBR が高いから割高」とはいえません。収益面に価値がある企業の場合、 PBR よりもPER に判断基準が置かれるからです。

 しかし、金融危機などで相場全体が暴落するようなケ一スでは、そのような優良企業の株価も PBR 1倍近くまで売り込まれる場合があります。

 そうした場合にはPBR 1倍というのが一つの買いメドとして投資家たちから意識されることが多いですし、実際に PBR1倍をメドに底打ちするケ一スも多々あります。

 

 逆に、業績不振や将来不安などで PBR 1倍の水準を大きく割り込んだ企業が、業績好調になってきて株価上昇を始めた場合、 PBR 1倍というのが大きな上値目標の一つと考えられることが多いようです。

 ただし、 PBR が0.1〜0.2 倍というように極端に低い場合には注意が必要です。経営状態や資産状況に大きな問題を抱えていて、それが懸念されて PBR が極端な低さになっているということがしばしばあるからです。

 

 

ポイント

  1. 資産面から割安さを探る指標
  2. 1倍が大きなメド
  3. 優良企業の1倍割れは割安かも
  4. 高くても割高とは言えない
  5. 0.1~0.2倍のように極端に低ければ警戒