ゴールを設けて運用する

    資産運用のゴールをどこに設ければよいのか。誰しも、それに悩んでいることだと思います。

 

ゴールとは何か。

    人によって異なりますが、目標の金額を達成することが資産運用のゴールと認識しましょう。 ゴールを設定する意味 お金について漠然とした不安感を抱いている人は、大勢います。ほとんどの人がそうだと言っても過言ではないかも知れません。手元の資産が少ない人は「これで働けなくなったとき、大丈夫なのだろうか」と思うでしょうし、たとえかなりの資産を保有していたとしても、そういう人はそれなりに豊かな老後をイメージしますから、その分、お金も掛かりますし、生活水準を落とすことには我慢ができないでしょう。

 要は、お金のあるなしに関係なく、お金の悩みは誰しもが抱えているわけです。

 そして、その悩みを解消するために、資産運用があるわけですが、単に漠然と運用しているだけでは、やはりいつまで経っても、お金の不安から逃れることはできません。総資産額が500万円しかなくて不安を感じていた人が、ー所懸命に頑張って運用して、これを5,000万円まで増やすことに成功したとしても、ただ漠然と運用していたら、不安感を払拭することはできないと思います。人は、「足るを知らない」生き物だからです。

 だからこそ資産運用には、自分なりのゴール設定が重要になってきます。
    ゴールを設定するためには、何が必要になってくるでしょうか。
一番大事なのは「時間」です。自分は何歳まで生きるのか。いつまで働くつもりなのか。この2点は確実におさえておく必要があります。

    何歳まで生きるのか、については、平均寿命を参考にしてもよいでしょうし、自分の両親が何歳まで生きていたのかというのも参考値になるでしょう。

    次は何歳まで働くのか、ということを考えましょう。最近は大企業を中心にして65歳定年が増えてきましたが、日本の企業の大半を占めている中小・零細企業は60歳定年がまだまだ主流です。「100歳人生」が現実味を帯びる中、60歳、65歳で定年になった後、ー切働かずに完全リタイヤを決め込むのは、あまりにも現実が分かっていないと言わざるを得ません。今後は公的年金の支給開始年齢が、70歳まで引き上げられるかも知れないのですから、やはり働けるうちは働くという意識を持つこともよいかもしれません。 いつまで働けるのかを考えたとき、参考になるのは「健康寿命」です。健康寿命は男性が71.19歳、女性が74.21歳と言われています。つまり70歳<らいまでは働ける可能性が高いわけで、リタイヤはその後と考えます。本当の意味で老後資金が重要になってくるのは、この完全にリタイヤしてから自分が生涯を終えるまでの期間と考えられます。それまでは、自分自身が働いて得る給料に加え、65歳から支給される公的年金で何とか凌ぎ、できるだけ貯蓄には手をつけないようにします。 70歳まで働くことで得られる給料の一 部を貯蓄に回し、加えて資産運用を継続することによって、 70歳を迎えた時点で保有資産額が最大になることが可能になります。

 

 

50歳でも長期投資は十分に可能

    資産運用のゴ ー ル設定としては、70歳以降、自分が生涯を終えるまでに必要な資金を、 70歳になるまでに作るというイメージを持つのが、理想です。仮に80歳まで生きる予定だとしたら、 10年間、全く働かずに、公的年金とそれまでに作った資産の取り崩しで生活できるようなお金を、 70歳までに作れればよいのです。

   とはいえ、自分は 80歳で生涯を終えるつもりでいたのに、それ以上に長生きしてしまったというケ一スも考えられるので、プランはある程度の余裕を持たせるべきでしょう。80歳なら85歳、あるいは90歳くらいまでを見てもよいかも知れません。

    70歳を運用のゴールと考えるなら、次に自分の現在年齢との差を計算します。それが実質的に残された運用期間になります。 40歳なら30年間は運用できますし、50歳でキャリアのゴールが見えてきたとしても、資産運用のゴールは 20年も先になります。長期運用は十分に可能です。

    仮に、 70歳から85歳までの15年間、毎月の生活費を30万円と想定しましょう。15年間ですから 30万円×15年間で5,400万円です。ただし、このうち月20万円は公的年金でカバーできるとしたら、 10万円X 15年間ですから1,800万円になります。70歳までに 1,800万円を用意できるかどうかが、重要です。 それが分かれば、運用計画も立てやすくなります。

    仮に 40歳から積立投資をスタートさせて、 70歳までに1,800万円を作るというゴールを設定すれば、逆算で月々の積立金額を割り出すことができます。 もし、年平均利回りで 5%の投資信託で積立投資をし、70歳までの30年間で1,800万円を作ろうとしたら、月々の積立金額は 2万2,000円です。もし、積立投資をスタートさせるのが 50歳で、運用期間が20年だとすると、月々の積立金額は4万4,000円。このように、自分のライフプランに合わせて金額を計算すればよいのです。

    ちなみにこの手の計算は、自分で電卓を叩いて行ってもよいのですが、最近はインターネット証券会社などが簡単なシミュレーションツー ルを提供していますので、それを参考にするとよいでしょう。

 

 

*年平均5%で運用できるかどうかという点は議論のあるところですが、世界の株式市場に分散投賣した場合の年平均リター ンは、世界のGDPの伸びしろ+aにほぼ運動すると考えられます。世界のGDP成長率が 2%前後。これに株式市場に投資することによるリスクプレミアム分を上乗せすると、保守的に見積もって、5%程度のリターンは期待できます。これが年平均5%リターンの根拠です。

 

 

信じて託す

 人々は本来鋭い時代感覚と高い情報感度を持ち合わせています。特に、1997年からのインターネットの普及を契機に情報感度は格段と高まり、多くの情報があふれ人々が情報に一喜一憂する時代になりました。このような時代の流れから「投資」や「運用」の世界も無縁ではありませんでした。

 

 

自分に合った投資信託を見つけるスキルを身につける

    巷で、 「短期間で数千万儲かる奇跡の投資術」、「知識ゼロでもポロ開け」などといった人の興味を引きつける類の話が散乱し、その誘惑に負け多額の資金を失った投資家が後を絶ちません。だからといって、私たちが資産運用からいつまでも背を向けていることはできないのです。それは、日本が迎えるこれからの時代が、自分たちのカで経済的な自由を手に入れるしかなく、そのためには正しい資産運用方法を身につける必要があるからです。 しかしながら、資産運用には諸刃の剣のような側面があるのも事実です。私たちは、「次になにが上がるか」、 「最高の売買のタイミングは」など、短期的に勝ち、それを続けることは、プロの投資家でさえ不可能であることは知っています。にもかかわらず、短期的な収益の魔力にとりつかれた個人投資家が、大した準備もせず無謀な投資で損を抱えることが日々起きています。

    だからこそ、このスクールで学んだみなさんは、資産形成の王道は、「分散投資」「長期投資」 「時間分散」であることを忘れないでください。そして、この3つの手法を最大限に活かすことができるのが「投資信託」だということも。つい、短期的な衝動に駆られたときには、投資先進国である欧米の多くの資産家が 「分散投資」「長期投資」「時間分散」で資産を築いてきたことを思い出し、自分のスタンスに自信を持ちましょう。

 

「信じて託す」

    自分に合った投資信託を見つけ出すスキルさえ身につけることができればこれが実現可能になります。そして、信じて託すことができれば、 ハ ラハラ、 ドキドキしながら市場動向や株価を気にしていた日々とは無縁になり、高いクオリティ ・オブ・ライフを実現できるでしょう。