運用報告書の見方

 金融商品取引法で定められた法定開示書類が目論見書なら、運用報告書は投資信託法によって交付が定められた法定開示書類です。運用報告書には前回の決算日から今回の決算日までの運用環境、運用成績などが記載されています。

 

 

すべてのデータに目を通す必要はない

 運用報告書の主な記載内容は、下記です。

  1. 最近の運用成績
  2. 基準価額の推移、ベンチマーク比較
  3. 今後の運用方針
  4. 当期のコスト
  5. 当期の設定・解約状況
  6. 株式売買の程度
  7. 当期の主要な売買銘柄
  8. 利害関係人との取引状況
  9. 組入資産の明細
  10. 資産、負債、元本及び基準価額の状況
  11. 損益の状況

 このように、さまざまな記載項目がありますが、そのすべてに目を通す必要はありません。というのも、投資信託の購入者にとって必要な情報は、これまでの運用成績がどういう経過をたどったのか、今後の運用方針はどうなるのかといった点に尽きるからです。

 運用報告書は、投資信託が決算を迎えるごとに作成されます。運用報告書には「第43期」というように、今回の決算が何期目なのか、ということが表紙に記載されています。当然、この期の数字が大きくなるほど、長期にわたって運用し続けられている投資信託であると考えられます。

 また決算は、投資信託によって毎月のものもあれば、3カ月に1度のもの、半年に1度のもの、1年に1度のものというように異なります。

 ちなみに毎月分配型の投資信託は、毎月決算があり、そのときに、前回の決算から今回の決算までに生じた運用益などを計算して分配金の額を決めます。ただ、毎月の運用状況を運用報告書としてまとめるのは、運用担当者にとってかなりの重労慟です。しかも毎月、運用報告書を作成し、保有者全員に郵送するなどと言ったら、その投資信託は途中で破たんするでしょう。採算度外視の過剰なサービスは、自らの首を絞めることにつながります。

 したがつて、毎月分配型投資信託の運用報告書は、毎月作成するのではなく、半年に1度でよいことになりました。半年に1度、今期も含む過去6期分の決算をまとめて報告する形が取られています。なお、隔月決算型投資信託の場合は、2カ月に1度の頻度で決算を迎えますが、これも半年に1度、過去3回の決算分をまとめて報告する形が取られています。

 なお半年に1度決算を迎えるタイプ、1年に1度決算を迎えるタイプは、それぞれ決算日ごとに運用報告書を作成します。

 

運用報告書の注目ポイント

 では、運用報告書の見どころについて、順を追って説明していきましょう。

 まず「当期の運用状況と今後の運用方針」をチェックします。ここには、投資信託が投資しているマーケットの環境解説や、当期の投資スタンス、今後の投資方針が書かれています。それほど詳細な内容が書かれているわけではありませんが、ヒントになる言葉はたくさんあります。投資信託保有する以上、今後の運用方針を把握しておくのはもちろんですが、基準価額が何の影響によって変動したのかという点も押さえておきたいところです。

 これまでの運用実績については、「最近5期の運用実績」、「当期中の基準価額と市況等の推移」をチェックします。

 中期的な運用実績の推移は、「最近5期の運用実績」を見ます。前述したように、この表を見るときのポイントは、基準価額とベンチマークの騰落率を比較することです。もちろん、基準価額の騰落率が、ベンチマークの騰落率を上回っているのが理想です。

 また、直近の運用実績を詳細に関しては、「当期中の基準価額と市況等の推移」をチェックします。当期の各月末の数字が出ているので、より詳細に値動きを把握できます。「最近5期の運用実績」、「当期中の基準価額と市況等の推移」の両者とも、基準価額とベンチマークの騰落率はきちんと比較するようにしましょう。

 それ以外の箇所は、厳密にチェックする必要はありません。強いて挙げれば、「売買高比率」くらいでしょう。これも前述しましたが、要はその投資信託がどれだけ組入資産を回転させているのかをチェックするための数字です。この数字が高くなるほど、その投資信託は、頻繁に組入銘柄を売買させていることになります。

 

*決算日を迎えると、投資信託は前回の決算日から今回の決算日までの運用によって得られた収益の一部を、「分配金」として受益者に還元します。ただ、投資信託によっては「分配金再投資コース」が設けられており、一度キャッシュアウトした分配金に20.315%の課税を行い、残った資金で同ーファンドを買いつけるコースを選ぶこともできます。分配金を受け取ったとしても、それを使う目的がなく、そのまま銀行預金に預けてしまう<らいなら、長期投資を前提にして、分配金を再投資するコースを選んでもよいでしょう。

 

 

 

 

月次報告書

 運用会社によっては「月次レポート」などの名称で開示が行われていることが多くあります。主な開示項目は、基準価額推移のグラフ、期間別騰落率、費用、分配金・利回りの推移、資産の組入れ状況などがあります。「今後の運用方針」を掲載し配金ているものもあるので、今後の運用についての方向性をうかがい知ることができます。この適時開示は、情報の更新頻度が高いためタイムリーな情報が得られるというメリットがあります。