日々の取引高をチェックする

 ETF証券取引所に上場され、売買される商品です。ですから、銘柄選びや売賣タイ ミングを考えるうえでは日々のマーケットにおける取引高が重要なポイントになります。

 

 

いつも売買できるわけではない

 ETFの利点のひとつとして、 「上場されているため、 いっでも売貿できる」ことが挙げられます。

 確かに、ETFは株式と同じように証券取引所に上場されていますから、いつでも買ったり売ったりできます。日本の場合、取引所は前場が午前9時から午前11時半まで、後場は12時半から15時まで開いているので、この間であれば私たちはいっでも自由に売買できます。

 ただ、前提条件があります。それは、「きちんと取引高があれば」ということです。これは株式も同じですが、たとえば10万株の売りがある 一 方で、買いが2万株しかなかったら、どうなるでしょうか。そう、これでは売買が成立しません。株式市場でもETF市場でも、売買が成立するのは、売りたい株数と買いたい株数が一致したときです。つまり、売りが10万株で買いが2万株では売買が成立せず、株価はどんどん
下がつていきます。そして、どこかで買いが増え、10万株の売りと同じ株数の買いが
出てきたところで、取引が成立します。

 資産運用で大事なことのひとつが「流動性」です。流動性とは、買いたいときに買 える、売りたいときに売れることです。流動性がなくなったマーケットは売り、もしくは買い一色になり、売り一色のときの株価は大暴落、買い一色のときの株価は大暴騰します。つまり価格が不安定になるということです。 マ ー ケットが安定して推移するためには、流動性の確保が何よりも大事なのです。

 2017年12月現在、東京証券取引所に上場されているETFは、全部で230銘柄になりますが、すべてのETFが活発に売買されているわけではありません。中には、1日を通して全く売買が成立しないETFもあります。こういった流動性が低いETFはできるだけ避けたほうが無難です。

 

 

値付日数をチェックする

 ETFが日々、安定した取引高を伴って売買されているかどうかをチェックするためには、値付日数をチェックするのが最も簡単な方法です。

 値付日数とは、文字通り、取引価格がついた日数が、1カ月のうち何日あったのかを示すもので、日本取引所グループのホームページから検索できます。ホームページの左端にあるタブの中から 「株式 · ETF · REIT 等」をクリックすると、商品一覧のページが現れます。その中の「ETF」を選び、「レポート」という項目の中にある、「売買高・売買代金」をクリックすると、エクセルでETF·ETN月間相場表が立ち上がります。その表の中に「値付日数」という項目があるので、これに注目します。

 例えば、2017年11月の立ち合い日数は21日でした。したがって、値付日数が21日あるETFが、流動性という点では望ましいことになります。ちなみに、ETFとETNを合わせた合計本数が246本ですが、このうち21日すべてで値段がついたのは、145本でした。半分以上は毎日、取引が成立して、取引価格が形成されていることになります。 ただ、ほとんど取引価格がついていないETF·ETNもあります。値付日数が10日以下だったのが35本もありました。中には1日しか取引価格がついていないものもあります。 「ETFはいつでも自由に売買できます」という点を重視するならば、取引価格がその月の営業日数の半分もついていないようなETFは、投資対象から除外したほうがよいでしょう。

 逆に、毎日取引価格がきちんと形成されているETFは、どういうタイプなのかという点を見ると、TOPIXTOPIXコア30、日経225平均株価など、メジャーな株価インデックスを連動目標としているETFです。逆に、海外のあまり聞いたことがないような株価インデックスを連動指数としたETFは、全般的に取引が盛り上がらない傾向が見られます。盛り上がらなければ、値付日数が少なくなるのも当然です。

 また、値付日数はある程度、多かったとしても、1日の取引高が非常に少ないETFもあります。こうした銘柄は、仮に値付日数が多かったとしても、日々の取引高が少ないわけですから、どうしても流動性に支障を来します。したがって、ETFを選ぶときはまず値付日数ができるだけ多いものにして、ある程度、絞り込めたら、日々の出来高をチェックするようにしましょう。

 

*ETN

 Exchange Traded Noteの略で、Noteは「債券」のこと。信用力の高い金融機関が発行する債券で、その金融機関が、連動対象としている株価インデックスなどに対し、 その債券の価格が連動することを保証しています。ただし、現物拠出型のETFとは違い、 ETNはその価値の裏付けとなる資産などをいっさい保育していません。あくまでも発行している金融機関の信用力が裏付けになっています。したがって、発行している金融機関が経営破たんなどに陥ると、こうした価格変動債券そのものの値値が無くなり、ただの紙切れになるリスクを有していると言えます。