デュレーション

 デュレーションとは、債券の将来の利子収入と償還金の合計額が実質的に平均何年後に回収できるかを見たもの、つまり債券の平均回収期間のことで、債券投資のリスクを把握するうえで参考になる指標です。もちろん、債券を組み入れて運用する投資信託の場合も、この数字がリスクを把握するうえで重要な意味を持ってきます。

 

債券投資の墓本を知る

 債券は、ー種の借用証書です。資金を調達したいと思っている企業、政府、地方自治体などが発行して投資家に販売し、資金を調達します。資金を調達した側は、定期的に利子を支払い、その債券が償還を迎えるときには、額面金額で戻します。

 債券を購入した投資家の側から考えると、債券は償還されるまでの期間、利子というキャッシュフロ一を定期的にもたらしてくれる金融商品です。そして、債券に投資するリスクとしては、企業や政府、地方自治体など債券を発行した発行体が、財政難に陥って元利金の支払いが滞ることです。これをデフォルトリスクと言います。 債券は償還を迎えたとき、額面価格(一般的には100円)で償還されますが、償還を迎えるまでの間は、債券市場の需給によって決まる債券価格で売買されます。債券価格は、その債券を買いたいという投資家が多くなるほど、額面価格の100円に対して、 101円、102円というように上昇していきます。逆に、債券を売りたい投資家が多くなるほど、額面価格の100円に対して、債券価格は99円、98円というように値下がりしていきます。

 債券の利子は、償還されるまで変動しない固定金利が基本であり、額面価格の100円に対してクーポンレートを掛けたものが利子として支払われます。仮にクーポンレートが3%であれば、額面価格100円につき3円ずつ利子が支払われます。それと同時に、債券は償還時に額面価格で元本が戻ってきます。ということは、仮に額面価格100円の債券を、98円で買えたとしたら、額面価格100円と購入価格98円の差額に該当する2円が償還差益となり、最終的な利回りはクーポンレポートを上回ります。

 

 

*クーポンレート

 額面価格に対して一定率の利子を支払うタイプの債券を「利付債」と言います。利付債は、あらかじめ決められた利子率に沿って、年2回、利払いが行われます。この利子率がクーポンレートです。また、債券市場で債券を売買する際には、債券市場で形成される債新両格で取引されますが、債券価格が額面価格を上回っているときに購入し、償還まで保有すると、償還差損が生じる分、最終利回りはクーポンレートを下回ります。逆に債券価格が額面価格を下回っているときに購入して償還まで保有すれば、償還差益が得られるので、最終利回りはクーポツレートを上回ります。

 

 

債券型投資信託におけるデュレーションの見方

 債券を主要投資対象とする投資信託の場合、ポートフォリオの平均デュレーションが計算され、運用レポートなどに掲載されています。運用レポートとは、運用報告書のような法定開示資料ではなく、投資信託会社が任意で作成している、運用の経過を投資信託保有者に通知するための資料です。これは、投資信託会社のホームページで読むことができます。

 デュレーションは前述したように、債券の平均回収期間を示すものですが、それと共に、金利変動に対する債券価格の感応度を示す指標でもあります。つまり、金利が1%変動したとき、債券価格がどの程度変動するのかを示すのです。これによって、債券価格の変動リスクを把握できます。

 たとえば、平均デュレーションが4.3年のポートフォリオがあるとしましょう。これは金利が1%変動すると、ポートフォリオに組み入れられている債券の債券価格が4.3円動くことを意味しています。

 金利と債券価格の関係ですが、金利が上がると債券価格は値下がりし、金利が下がると債券価格は値上がりします。つまり、平均デュレーション4.3年の場合、金利が1%上昇すると、債券価格は4.3%値下がりし、金利が1%低下すると、債券価格は4.3% 値上がりします。

 平均デュレーションが長いポートフォリオは、金利が上昇したときに債券価格の下落リスクが高まり、それを組み入れている投資信託は基準価額が大きく下落することになりますが、金利が低下したときは、債券価格が大きく上昇するため、投資信託の基準価額も大きく上昇することになります。

 また、それとは逆に平均デュレーションが極めて短い投資信託の場合は、金利が低下しても基準価額はほとんど上昇しません。その反面、基準価額は安定しており、元本割れリスクを極力抑えることができます。

 日本国内で設定・運用されている投資信託の中で、国内債券を主要投資対象としているものはごく少数であり、大半は海外の債券を組み入れて運用するタイプです。特に海外の高利回り債券を組み入れて運用する投資信託を購入する場合は、運用レポ一卜で平均デュレーションをチェックし、金利変動に対するポートフォリオの感応度を把握するようにしてください。