インフオメーションレシオ

 アクテイブ運用の投資信託のリターンを計測するための指標のひとつで、中長期的にベンチマークを上回るリターンを上げているかどうかを判断するために用いられます。アクテイブ型の投資信託を運用しているファンドマネジャ ー の優劣を比較するためのものとも言えます。

 

0.5以上あれば優秀とされる

 優秀なアクテイプ運用の投資信託の条件は、中長期的にベンチマ ー クを上回るリターンを維持できていることです。もちろん、これはベンチマークを持つ相対リターンを目指すアクテイプ運用の投資信託に限った話になりますが、大半のアクテイプ型投資信託は、 ベンチマークを設けていますので、インフォメーションレシオを用いて運用の優劣を比較できます。インフォメーションレシオは、ベンチマークを上回った収益率(=アクティブリターン)の平均値を、アクティブリターンの標準偏差(=アクティブリスク)で割って求められます。この数値が低い場合、その投資信託はコストをかけて銘柄選択をする意味がないと判断されます。前述したように、アクティブ運用を行う投資信託は、企業訪問などによって将来、大きく伸びると思われる企業を発掘し、それをポートフォリオに組み入れて、ベンチマークを上回るリターンを目指します。

 当然、企業訪問をはじめとして、将来、株価が大きく上昇すると思われる企業を発掘するためには、相応のコストが掛かります。そのため、アクティブ型投資信託は、パッシブ型投資信託に比べて、信託報酬も高めに設定されているわけですが、アクティブ型投資信託の中には、 ベ ンチマークとほとんど変わらない、あるいはベンチマー クを下回るリターンしか実現できないものもあります。この手のアクティブ型投資信託は、わざわざコストや手間をかけてアクティブリターンを追求する意味がありません。それを判断するのがインフォメーションレシオなのです。

 ちなみに、インフォメーションレシオの数値は、0.5以上あれば優秀な運用が行われていると判断されます。

 また、アクティブリターンのことを超過収益率と言って、たとえばアクティブ運用によって得られたリターンが10%、ベンチマークの上昇率が5%だとしたら、アクティブリターンは、

 10%−5%=5% 

つまり、5%がこの投資信託のアクティブリターンということになります。

 

 

インフォメー ションレシオの注意点

 具体的に、インフォメ ー ションレシオを計算してみましょう。まず、1年間のベンチマークの上昇率が5%だとします。そのうえで、投賣信託Aの1年間の騰落率が15%、アクティブリターンの標準偏差が10% 、投資信託Bの1年間の騰落率が20%、アクティブリターンの標準偏差が20%だとします。この場合、2つの投資信託のインフォメーションレシオは、以下のようになります。

 

投資信託A・・・ (15%-5%) ÷ 10%= 1.0

投資信託B・・・ (20%-5%) ÷ 20%= 0.75 

 

 このように、1年間の騰落率だけで比較すると、20%のリターンを上げている投資信託Bのほうが優秀な運用が行われたかのように見えますが、インフォメーションレシオで比較すると、投資信託Aのほうが優秀だったということになります。 ィンフォメーションレシオを用いて投資信託を評価する際の注意点ですが、これはシャープレシオを用いて評価する場合と、基本的には同じです。 当然、過去の運用成績をベ一スにして計算されるものなので、算出されたインフォメーションレシオは、過去の数値である点には留意しておく必要があるでしょう。 もちろん、インフォメーションレシオを用いて、個別の投資信託の数値を比較する場合には、同じ資産クラスに投資している投資信託同士でなければダメですし、同じように過去3年間、5年間という期間で比較する際にも、いつの時点からの3年間、あるいは5年間なのかということを把握しておく必要があります。 なお、インフォメーションレシオも自分で計算するのは大変なので、シャー プレシオや標準偏差と同様、投資信託評価会社が計算・公表している数値を参考にすれば十分でしょう。 

 

 

*どのような方法で投資信託を評価しようとも、結局、過去の運用をベ一スに計算するしかないので、結論からいえば将来を保証する数値はどこにもないということになります。シャープレシオも、インフォメーションレシオも、優秀な運用が行われている投資信託かどうかを評価する参考値にはなりますが、それらの数値をベースに投資信託を選んだとしても、必ず高いリターンが得られるとは限らない点には、留意しておく必要があります。