シャープレシオは、リターンをリスクで割った数値のことで、1リスク当たりのリターンを示します。つまり、取ったリスクに対して、どの程度、高いリターンが得られているのかを見るための指標です。

 

 

効率よく稼げる投資信託を見つける

 「ハイリスク・ハイリターン」「ローリスク・ローリターン」という言葉があります。高いリターンを得るためには、高いリスクを取らなければならない。リスクを取らなければ、リターンは望めない、という意味で、リターンとリスクは常に裏腹な関係にあります。

 ただ、人は都合のよい生き物ですから、高いリターンを得るためには、相応に高いリスクを取らなければならないと分かってはいても、やはりリスクはできるだけ抑えながらも、できるだけ高いリターンを得たいと思っているはずです。そこでチェックしたいのが、シャープレシオの数値です。シャープレシオの計算式は、以下のようになります。

 

投資信託の平均リターン一安全資産利子率)+標準偏差

 

 ここでも「標準偏差」が出てきました。標準偏差とは、投資信託のリターンのバラツキ具合を示すデータです。

 安全資産利子率とは、要は元本割れリスクのない資産の利率のこと、日本では、無 担保コール・レートを用いるのが普通です。ちなみに無担保コール・レートとは、日本の銀行同士が短期的な資金のやりとりを行う際に適用される金利のことで、「インターバンク・レート」とも言われます。銀行は恒常的に資金の過不足が生じており、その過不足を調整するために、銀行同士で資金を融通しているのです。 なぜ、投資信託の平均リターンから、安全資産利子率を差し引くのかというと、安全資産の利子率を上回って実現したリターンこそが、リスクを取って運用したことによって得られたリターンであると考えられるからです。こうして算出された、リスクを取ることによって得られたリターンを、標準偏差というリスクで割れば、1リスクに対するリターンが計算できます。 したがつて、シャープレシオが高ければ高いほど、取っているリスクに対して効率よくリクーンが稼けたことになります。逆に、シャープレシオが低い投資信託は、取っているリスクの割にリターンが低く、リスクテイクによって得られているリターンの効率が悪いと判断されます。 具体的に計算してみましょう。投資信託Aのリターンは10.5%、標準偏差が10%です。また投資信託Bはリターンが20%で、標準偏差が23%です。安全資産利子率が0.1%だとすると、投資信託Aと投資信託Bのどちらが、リスクに対して効事よくリクを上げられているでしょうか。

 この場合、単純にリターンだけで比較すると、投賣信託Bのほうが、投賣信託Aを大きく上回っているので、投資信託Bのほうがよいと考えてしまいがちです。では、シャープレシオを計算してみましょう。

 

 投資信託A・・・・(10.5%-0.1%)÷10%=1.04

 投資信託B・・・・(20%-0.1%)÷23%=0.86

 

 確かに、投資信託Bはリターンだけを見れば高いのですが、それはリ夕一ンに見合 わないリスクを取っているからだと判断できます。逆に、投資信託Aはリターンこそ低いものの、取っているリスクに対して、効率よくリターンを稼いでいることになります。

 

 

シャープレシオの注意点

 シャープレシオの注意点シャープレシオは、できるだけ高いものを選んだほうが、リスクに対して効率よくリターンを稼いでくれる投資信託ということになりますが、いくつか注意点もあります。

 まず、比較できるのは同じ資産クラスに投資している投資信託であること。ー方が 日本株を組み入れて運用する投資信託、もうー方が外国債券を組み入れて運用する投資信託の場合、この2つの投資信託シャープレシオは、比較対象になりません。日本株と外国債券とでは、そもそもリスク・リターンの特性が異なるからです。

 次に期間の問題です。仮に同じ資産クラスに投資している投資信託同士でシャープレシオを比較するとしても、期間が異なれば比較対象になりません。たとえば、同じ国内株式型投資信託で、同じ過去5年間のシャープレシオを比べるとしても、ー方が2012年4月末から2017年4月末、もう片方が2012年9月末から2017年9月末というように、シャープレシオの計測期間にズレがあったりすると、すでに比較の前提が崩れてしまいます。したがって、シャープレシオを比較する場合は、いつの時点からの期間なのか、という点を把握しておく必要があります。

 シャープレシオを比較する際には、以上の2点について必ず留意しましょう。

 そのうえでもう一点、運用成績がマイナスになっているときのシャープレシオの見方にも注意すべき点があります。 基本的に、シャープレシオの数値が高いほど、リスクに対して効率よくリターンを稼いでいることになるのですが、それはあくまでも平均リターンがプラスのときの話です。投資信託はリスク資産ですから、当然のことですが、運用成績がマイナスになるケースもあります。世界同時株安などということになったら、大半の投資信託の運用成績はマイナスになるでしょう。そういう場合のシャープレシオをどう見ればよいのかということです。たとえばリターンが同じ▲20%で、安全資産利子率が0.1%、標準偏差投資信託Cが20%、投資信託Dが30%だとしましょう。リターンが同じですから、投資信託Dのほうがより大きなリスクを取っているので、リスクに対して効率よくリターンを上げているのは投資信託Cということになります。

 では、両者のシャープレシオを比較してみましょう。

 

投資信託C ・・・(▲20% 0.1 %) ; 20%=▲ 1.005

投資信託D ・・・   (▲ 20% 0.1%) ; 30%=▲ 0.67

 

このように、シャープレシオで見ると、投資信託Cよりも投資信託Dのほうが高くなります。でも、取っているリスクに対してリターンの効率が高いのは、投資信託Cのほうです。つまりリターンがマイナス値で、シャープレシオがマイナスになる場合は、マイナス値の低いほうが、運用効率は高いと判断されるのです。 なおシャープレシオも、モーニングスターなど投資信託評価会社のホームページに記載されているので、自分でわざわざ計算しなくても、掲載されている数字を参考にすればよいでしょう。