投資信託の指標:騰落率

 騰落率は、基準価格が言って一期間中、何%上昇したのか、逆に下落したのかを示したものです。「投資信託の運用成績」というとこの騰落率を示すのが一般的です。

 

 

騰落率は「利率」ではない

 投資信託の騰落率を見る上でよくある誤解が、預金の利率と同じイメージでとらえることです。

 預金の利率は、銀行などの金融機関が融資先に適用している貸出金利から、金融機関の経営に必要なコストを差し引いた上で預金者に提示しているものです。預金は金融機関が預金者に対して、元本おyp美、利息の支払いを保証しており、これはたとえ貸出先が倒産して、元本や貸出金利が回収できなくなったとしてもきちんと履行する義務があります。したがって、金融機関は、こうしたリスクも加味して預金の利率を決めるため、その水中は総じて低くなります。また、元本及び利息の支払いを保証しているため、銀行預金の利率は原則としてマイナスにはなりません。

 一方、投資信託の場合、運用によって得た利益の大半は投資信託保有者に還元されます。購入手数料や信託報酬といったコストは差し引かれますが、その上で残った利益は全て受益者のものになります。もちろん、利益だけでなく損失を被ることもあります。

 預金金利も騰落率も同じパーセンテージで表示されますが、そもそも全く別物ということは明確に理解しておくべきです。

 

 騰落率の計算は簡単で、例えば過去5年間の騰落率であれば、現時点の基準価格が5年前の基準価格に比べて何%上がったか下がったかを計算するだけです。

 例えば5年間で1万円の投資信託が1万2000円になったとしたら(分配金はゼロとします)、

 (1万2000円ー1万円)÷ 1万円=0.2=20%です。

 ただしここで注意しなければならないのは、騰落率は1年あたりの主駅率を示したものではないということです。上記の騰落率はあくまで5年間で基準価格が20%上昇したということを示しています。預金金利は1年あたりの収益率を示していますが、騰落率はあくまでも期間中における収益率です。上記のように5年間の騰落率が20%ならば、1年あたりでは20%÷5年間=4%となります。

 騰落率を見るときには、どの期間における騰落率なのかという点に注意する必要があります。

 

 

 

騰落率だけで投資信託を選ぶのは危険

 投資信託を選ぶ際、「騰落率が高い投資信託は良い投資信託」と勘違いしがちです。

 確かに、運用する人のスキルが高く、それが運用に反映されて高い騰落率を上げることもあります。しかし投資信託の運用成績は、大半がマーケットの動向によってもたらされる部分が大きいことを忘れてはいけません。つまり、高い騰落率は、たまたま投資先のマーケットが好調だったというだけの可能性もあるのです。仮にマーケットが下落局面に入ったら、あっという間に騰落率が低下し、下手をすればマイナスになることもあり得ます。

 騰落率を投資の判断基準にするとしたら、例えば、パッシブ運用とアクティブ運用の騰落率を比較し、常時パッシブ運用を上回っているアクティブ運用を探すなど、自分でデータをハンドリングできる場合に限られます。少なくとも、直近の数ヶ月などの騰落率およびランキングは、判断基準にはなりません。