運用期間・信託期間を調べる

 日本の投資信託は、碧金寿命が非常に短いと言われています。一般に長期投資といった場合、最低でも10年は運用するイメージですが、日本の投資信託で10年以上の長期にわたって運用し続けられているものの方が少ないくらいです。このギャップが、投資信託での運用をますます難しくしています。

 

 

5年以上の運用成績を持つ投資信託は約半分

 追加型株式投資信託のうち、SMA専用口座の投資信託確定拠出年金向け投資信託を除いた本数は4500本程度です。運用期間が5年以上経過しっ投資信託の本数は2300本程度と、なんと半減してしまします。ちなみにもっとハードルを上げて、運用期間が10年以上の投資信託となると、1200本程度まで減少してしまいます。

 

 なぜ長く運用し続けられてきた投資信託が少ないのでしょうか?

 

 これは日本の投資信託がもっぱら販売金融機関の手数料稼ぎに用いられてきた歴史があるからです。

  •  投資信託を購入して半年から1年が経過すると、「そろそろ解約して別の投資信託に乗り換えましょう」
  • 運用成績が悪いと、「他の投資信託に乗り換えて挽回しましょう」
  • 逆に成績が良いと、「そろそろ利益を確定させてたの投資信託に乗り換えましょう」

 このように、口実は様々ですが、乗り換えを勧められるのです。販売金融機関は手数料商売ですから、同じ投資信託をずっと持ち続けられるのに比べれば、どんどん他の投資信託に乗り換えてくれた方が手数料収入を増やすことができます。この手の営業が横行していましたから、日本の投資信託の運用期間が長いはずがありません。解約された方の投資信託からはどんどん資金が流出してしまい、運用どころではなくなります。そして最後には、繰上償還の末路を辿ることになるのです。

 

 さて、そうは言っても、これまで5年以上あるいは10年以上にわたって運用し続けている投資信託もあります。極めて少数ではありますが、もし投資信託で長期投資を考えているのであれば、長い期間にわたって運用が続けられているものを選ぶべきでしょう。

 もちろん、これまでの運用期間が長いからと知って、今後も続くという保証はどこにもありません。しかし、運用がスタートして1年足らずの投資信託が、今後10年、20年にもわたって運用を続けられる可能性は、もっと低いと考えられます。したがって投資信託を買うときは、できれば5年以上、少なくとも3年以上の運用成績を持っているものの中から選ぶべきでしょう。

 

 

繰上償還で生じるリスク

 保有している投資信託に解約が急増し、純資産総額が減少すると、やがて繰上償還のリスクが高まってきます。繰り上げ償還が老師信託の保有者にとって、どのようなリスクにつながるのかということについてですが、大きく2つ考えられます。

 

 ひとつは、運用の継続性が断たれることです。購入する際、吟味に吟味を重ねて選んだ投資信託が繰上償還されてしまったため、止むを得ず、他の似たような運用手法、投資対象の投資信託に二里変えたとしても、それは繰上償還されてしまった投資信託とは全くの別物です。仮に投資対象が同じだとしても、銘柄構成まで同じということはありませんし、そもそもファンドマネージャーが違うでしょう。

 もちろん、その違いが投資信託のリターンにとって、何%の差になるのかはわかりませんし、ひょっとしたらあまり大きな差にはならないかもしれません。ただ、他の投資信託に乗り換えたことによって、今までの運用の連続性が断たれ、ポートフォリオの性格を変える可能性があるということは、留意しておく必要があります。

 

 ふたつめは、元本割れの償還を余儀なくされるリスクがあることです。繰上償還の時は、償還日時点の基準価格が償還価格になり、受益者が保有している口数に応じて償還金が戻ってきます。つまり、投資元本を割り込んだ状態で償還されてしまい損失となるのです。投資信託を長期間保有するメリットは、購入時点の基準価格よりも値下がりしたとしても、いずれ景気の回復などによって投資元本を回復し、さらにリターンが得られる機会に恵まれることです。「景気サイクル」という言葉があるように、景気は好不況を繰り返します。あの「100年に1度」とまで言われたリーマンショックに夜世界的な株安でさえ、それから10年もしないうちに世界各国の株価は回復し、過去最高額を更新しました。たとえ基準価格が大きく下落したとしても、長く保有し続ければいつか回復するチャンスが訪れるはずです。しかし、基準価格が下がったところで繰上償還されてしまっら、そのチャンスを生かすことができません。こうしたリスクを考えると、やはり繰り上げ償還される余地がある投資信託には、手を出さないに限るのです。そのためにも、長期の運用成績を持っている投資信託を選ぶべきでしょう。

 

 それともう一つ、償還日にも注意が必要です。追加g多投資信託の中には、事前に償還日を定めたものがあります。この償還日までの残り時間がほとんどない投資信託は買わない方が良いでしょう。追加型投資信託の場合、償還日が決められているものでも、償還日が間近に迫ると約款変更によって償還日を先送りするケースがありますが、それはある程度の純資産総額を持っていて、運用の継続が可能な投資信託に限られます。逆に純資産総額が大きく減った投資信託の場合、償還期限の延長措置は取られず、当初の予定通り償還されるのが普通です。できれば、これまで5年、10年という期間運用を継続していて、かつ、信託期間を無期限にしている投資信託を選ぶのが理想です。

 

 

信託期間が延期されることもある

 信託期間がいつまでなのか、については、目論見書などに記載されているので、それを確認すれば分かります。信託期間は投資信託によって異なりますが、ざっくりした数字でいうと、追加型は10年程度、単位型は4年程度というのが普通です。このうち単位型は、運用がスタートした後の追加購入は認められていませんから、全ての保有者の信託期間は同じですが、追加型は運用がスタートした後に追加購入できるため、保有者によって最大限保有できる期間がバラバラです。

 例えば、信託期間が10年の追加型投資信託を、設定時点で購入すれば最長10年間、運用できるわけですが、運用開始から8年が経過して購入した人は、最長で2年しか運用できないことになります。なので、追加型投資信託を購入する際は、信託期間がどのくらいあるのかを、まずは確認する必要があります。もちろん、残りの信託期間が短い投資信託には手を出してはいけません。

 ただし、追加g多の投資信託の場合、信託期間が設けられているタイプでも、当初の信託期間が満了する前に信託期間が延長されるケースもあります。信託期間の満了間際でも、純資産総額が大きな投資信託に、その傾向が多く見られます。ということは、がy国言えば、信託期間が満了する間際に純資産総額がほとんどないような投資信託は、ほぼ確実に償還されることになります。その意味では、信託期間は目安程度に捉えておいた方が良いのかもしれません。延期されることもあれば、逆に信託期間満了前なのに召喚されてしまうこともあります。

 

 繰上償還される最大の理由は、純資産総額が大幅に目減りした時です。純資産総額が減って、例えば30億円未満になると満足に分散投資ができず、かつそこから得られる信託報酬では、投資信託会社も赤字になってしまします。そのため、投資信託会社が繰上償還を決断し、その意思を「公告」という形で自社のWebサイトに掲載します。前述したように、繰上償還が告知されてから一定期間後までに受益者の3分の2以上の賛成が得られた場合、繰上償還が実行されます。ちなみに3分の2以上の賛成者には無解答者も含まれます。つまり繰上償還に反対の意思を示さない限り、賛成者とみなされ、3分の2にカウントされてしまうのです。いずれにしても、純資産総額が少なければ、繰上償還の対象になりますし、信託期間の延長も望めません。

 

 

信託期間が「無期限」の投資信託を選ぶ

 投資信託の信託期間で理想的なのは、「無期限」というタイプです。文字通り、無期限なので、償還されることなく、ずっと運用し続けられます。探してみると、信託期間を無期限にしている投資信託は少なくありません。もし、長期的なスタンスで投資信託保有するのであれば、信託期間はできるだけ無期限のものを選ぶようにしましょう。

 ただし、表向き信託期間を無期限にしている投資信託でお、償還されてしまうケースはあります。前述したように、解約の増加によって純資産総額が30億円規模を割り込んでしまうような投資信託は、いくら信託期間が無期限であったとしても、繰上償還の対象になります。

 したがって、信託期間が無期限であっても、純資産総額の水準、資金の流出入状況は、常にチェックしておくようにしましょう。資金の流出が続き、かつ、純資産総額の水準が30億円に近づいている投資信託には、手を出さないのが無難です。