外国債券型投資信託

 正式には「株式型投資信託」に分類されていながら、主に債券を組み入れて運用しているのが「外国債券型投資信託」です。主に毎月分配型投資信託を中心にして個人投資家から人気を集めています。

 

高利回り債券投資の魅力

 外国債券型投資信託は、債券を中心に組み入れて運用しているにも関わらず、株式型投資信託9分類されています。これは基準価格が1万円を割り込んでも追加設定ができるようにするためです。公社債投資信託の場合、基準価格が1万円を割り込むと、再び1万円を回復するまで追加設定できないという問題があります。外国債券型投資信託の場合、現地通貨ベースでは基本的に元本割れのリスクが低い外国債券を組み入れて運用しても、円ベースにすると為替変動の影響を受けて基準価格が1万円を割り込むことも十分に考えられます。そのため約款上では株式も組み入れるようにして、分類上は株式型投資信託にしているのです。もちろんこれはあくまでも名目的なものであり、実際の運用に際して株式を組み入れることは通常ありません。

 外国債券型投資信託は90年代の後半から徐々に運用本数が増え始め、2015年くらいまで、数ある投資信託の中で最も高い人気を維持していました。

 人気の理由は2つ考えられます。

 第一に高い分配金利回りです。外国債券おり率は超低金利が長引く日本の円建て金融商品の利率に比べて高いため、それを分配金原資として、高い分配金利回りを実現していました。

 第二に、この手の投資信託の多くが毎月決算を行い、その都度、分配金を支払うという仕組みだったことです。投資信託保有者からすれば、毎月分配金を受け取れるという点が、一種の安心感につながったと思われます。

 こうして毎月分配型を中心にして、外国債券型投資信託は高い人気を集めましたが、徐々に運用面で厳しい状況に直面することになりました。理由は世界的な超低金利です。2008年に生じたリーマンショックによって、世界的に景気はスローダウンを余儀なくされました。こそから脱却するために考えられたのが、ゼロ金利政策QE(量的金融緩和)です。これまでゼロ金利政策といえば日本の十八番でしたが、リーマンショックから立ち直る過程において、欧州(ユーロ加盟国)や米国はゼロ金利政策を取るようになりました。さらにいえば、欧州はマイナス水準にするマイナス金利政策さえ実行に移されたのです。このように、金利水準が大幅に引き下げされる中、外国債券の利回りも低下傾向をたどり、外国債券型投資信託の主要投資対象である外国債券から得られる収益力が大きく低下してしまいました。

 

毎月分配型投資信託の問題点

 近年、外国債券型投資信託の主力商品でもある「毎月分配型投資信託」に、いくつかの問題点があることが露呈してきます。

 第一は、長期投資に向かないことです。何しろ主駅の一部を毎月分配してしまうため、複利効果はあまり期待できません。加えていえば、債券という金融商品そのものが、長期投資には向きません。なぜなら、債券は定期的に利子を支払ってクラμ須賀、元本は成長しません。額面価格が100だとして、償還時に100で戻って来るだけです。株式のように、株価が300円、500円700円というように成長していくわけではないのです。

 第二は、「タコ足分配」といって、元本の一部が取り崩されて分配金に回されているケースが考えられることです。毎月分配型の分配金実勢を見ると、常に一定額で分配している投資信託が多くあります。本来、マーケットで運用しているのであれば、分配金が常に一定というのは「おかしい」のです。これは前決算日から今決済日までの運用で得た収益以外の部分を分配金に回していることを意味します。運用益から分配金が支払われることを「普通分配金」というのに対して、このように元本を取り崩して分配金が支払われるものを「特別分配金」と言います。

 こうした問題点があることから、昨今、毎月分配型を取り巻く環境の厳しさは増しつつあります。実際に金融庁も、こうした毎月分配型に対して厳しいスタンスを示しており、つみたてNISAのラインアップからも排除されています。毎月分配型の投資信託は押す遠くない将来、存在感が薄れて行く可能性があります。

 

 

国債券型と為替リスク

 多くの外国債券型投資信託は、為替リスクをヘッジせずに運用するタイプgs中心です。したがって、円安が進むほど基準価格が上昇しやすくなる反面、円高が進むと保有資産に為替差損が生じ、基準価格は下落します。

 個別の投資心t買うのリスクがどのくらいなのか把握するためには「デュレーション」に注目することをお勧めします。簡単に言えば債券に投資した資金を回収するまでの期間を示したもので、この数字が高くなるほど、金利変動リスクも高くなります。例えば、デュレーションが10年の債券があったとしたら、1%の価格変動に対して、債券価格が10%変動することを意味します。デュレーションが2年であれば、1%の金利変動に対して、債券価格は2%変動します。

 債券は金利上昇局面では債券価格が下落しますが、金利低下局面では債券価格が上昇します。したがって、金利上昇局面ではデュレーションが短いものほど、値下がりリスクが低くなり、金利低下局面ではデュレーションが長いものほど、リターンが高くなります。これは外国債券型投資信託を購入する上で重要な指標になります。外国債券型投資信託は、運用報告書や運用レポートなどのディスクロージャーに、ポートフォリオの平均デュレーションを掲載しています。その長短を見ることによってそのポートフォリオが持っているリスク度を、大まかにではありますが、把握できます。

 

*分配金利回り

年間の予想分配金を投資金額で割って求める利回りのこと。1万円あたり毎月80円の分配金を出している投資信託を100万円分保有していた場合、年間の分配金額は9万6000円。これを100万円で割ると、分配金利回りは9.6%になります。ただ、投資信託の基準価格は日々変化しており値下がりするケースもあります。購入時に比べて基準価格が値下がりしていた場合、いくら分配金利回りが高かったとしても、トータルの収益がマイナスになるケースもあります。元本が保証された上での利回りではないことには注意しておくべきです。

 

デュレーション

債券に投資した場合の平均回収期間のことで、債券投資のリスクを把握する上で参考になる指標です。また別の記事で詳しく紹介します。