外国株式型投資信託

 主に外国の株式を組み入れて運用する投資信託です。個人が海外の株式市場に投資する場合、情報が足りなかったり、取引の手続きに手間がかかったりしますが、投資信託なら簡単に、少額資金で海外投資ができます。

 

 

日本以外の投資対象地域は主に10地域

 投資信託は前述した国内株式だけを対小にしたものだけでなく、海外市場にも投資できます。それも1000円程度の少額資金で、諸外国の株式市場などに投資できるのです。これは投資信託ならではのメリットと言えます。

 外国株式型投資信託は、日本以外の諸外国の株式市場に投資できる投資信託です。具体的にどのような子国々に投資できるかというということですが、投資信託協会の分類では次のようになります。

  1. グローバル・・・世界中の株式しzy9王に分散投資するタイプです。地域や国は特に問いません。このタイプの投資信託を1本保有すれば、手軽に国際分散投資ポートフォリオを持つことができます。
  2. 北米型・・・米国・カナダの株式市場に投資するタイプです。
  3. 欧州型・・・ヨーロッパの株式市場に投資するタイプです。
  4. アジア型・・・アジアの株式市場に投資するタイプです。アジア全般に投資するタイプもあれば、インドネシアやタイ、シンガポールなど、アジアの特定の国の株式市場に投資するタイプもあります。
  5. オセアニア・・・オーストラリア・ニュージーランドの株式市場に投資するタイプです。
  6. ロシア・東欧型・・・ロシアや東欧の株式市場に投資するタイプです。
  7. 中南米・・・中南米全体の株式市場に投資するタイプ、メキシコやブラジル、アルゼンチンなど、中南米の特定国の株式市場に投資するタイプもあります。
  8. アフリカ型・・・アフリカの株式市場に投資するタイプです。アフリカには現在56の国が存在していますが、アフリカ型に属する投資信託で、アフリカの特定国に投資するタイプは現状存在しません。
  9. 中近東(中東)・・・中東の株式市場に投資するタイプですが、現在このタイプは非常に少数です。
  10. エマージング・・・新興国の株式市場に投資するタイプで、アジア、中南米、東欧・ロシアなど、幅広い新興国の株式市場に投資するタイプもあれば、特定の新興国株式市場に投資するタイプもあります。

 

為替リスクに注意

 外国株式型投資信託は、このように諸外国の国々・地域の株式市場に投資するわけですが、国内株式投資信託との大きな違いは、為替変動リスクがあることです。

 例えば、米国の株式を組み入れて運用する投資信託の場合、日本の販売金融機関を通じて集められる購入資金の通貨は円です。日本国内で販売するので当然のことです。しかし、集めた資金で米国株式を購入するに際して、円資金を使うことはできません。米国の株式市場で取引されている通貨は米ドルだからです。したがって集めた円資金を米ドルに替えてから米国株式を買い付けることになります。また、その逆に中途解約などで現金化するときには、投資信託に組み入れられている米ドル建の資産を円資金に替えますから、ここでも為替変動の影響を受けます。つまり、購入時に比べて中途解約する際の為替レートが円高になっていたら為替差損を被る恐れがあるのです。

 とはいえ、日本国内で設定運用されている投資信託は、外国株式型投資信託であったとしても基準価格は円建てで表示されています。そのため、為替リスクとは無縁と思ってしまいがちですが、決してそのようなことはありません。投資信託に組み入れられている資産が全く値動きしなかったという前提で、もし円高に進めば、円建てで計算される基準価格は、その分だけ値下がりします。逆に円安に進めば基準価格は値上がりします。

 もちろん、多少円高が進んだとしても、投資信託に組み入れられている資産の外貨建て評価額が上昇していれば、円建ての基準価格は値下がりせず、むしろ値上がりするケースだって考えられます。このように、外国株式型投資信託の基準価格は組み入れ資産の外貨建て評価額と、一定時点における為替レートの掛け算で求められることを覚えておく必要があります。

 

 

為替レートを気にしすぎない

 ただ、だからと言って、円高になった時に買い、円安がある程度進んだところで解約するというような為替レートの値動きに沿ってトレードを繰り返すような取引は外国株式型投資信託には向いていません。

 これは為替レートの長期的な推移を見るとわかるのですが、米ドル/円の値動きは長期間にわたって一定の範囲に収まっています。もちろん、1971年までは固定相場制の下、1ドル=360円時代が長く続きましたが、1973年に変動相場制に切り川田直後に260円台になり、1985年のプラザ合意で160円になりました。1995年には日米貿易摩擦で79円75銭をつけました。そして、2011年11月に円は史上最高値の1ドル=75円55銭をつけました。

 このように過去の流れを見ると、「円高トレンド」という言葉が浮かんできますが、1971年に変動相場制が導入されて以降の長期的なチャートで見ると、どこを基準にするかで微妙な違いはありますが、大体、2001年以降は1ドル=147円から75円という大きなレンジの中で推移しています。かなりワイドなレンジではありますが、それが過去20年程度の大まかな米ドル/円の値動きです。

 つまり、20年30年という長期の時間軸で投資信託保有し続けるなら、ある程度円高になったとしても、再び円安に戻る可能性があるので、一時的な為替差損は気にする必要がないとも言えます。

 

 

為替をヘッジするべきか

 外国株式型投資信託の多くは、為替ヘッジしないものが大半ですが、中には為替ヘッジを行なっているもの、購入者が自分で為替ヘッジの有無を選択できるものもあります。

 ただ、「海外金利>日本の金利」の状態で外貨の為替ヘッジを行うと、ヘッジコストが余計にかかってしまい、最終的なリターンが低下してしまうケースも考えられます。したがって、外国株式型投資信託を購入する場合は「為替は反復するものであり、いつか自分が投資した時のレートに戻る」ことを前提にして、為替ヘッジなしのものを選ぶのが合理的と言えるでしょう。