公募型と私募型

 投資信託を募集方法で分けると、公募型と私募型に分かれます。個人投資家が販売金融機関などを通じて自由に購入できるのが公募型で、特定の機関投資家向けに販売されるのが私募型です。

 

 

一般に販売されている投資信託は公募型

 こっ人が金融機関を通じて購入できるのは公募型投資信託です。それは「公募」という文字からも察することができるでしょう。不特定多数の投資家を相手に、勧誘・販売されています。

 一方、私募型投資信託は「適格機関投資家」向けに勧誘・販売が行われます。適格機関投資家とは銀行、金融商品取引業者、保険会社、信用金庫、信用組合投資事業有限責任組合厚生年金基金、外国政府、外国金融機関などが該当します。特定の少数者向けに販売され、販売を担当するセールスが直接、顧客を勧誘して販売します。私募型投資信託は勧誘できる投資家の数が限られており、2名以上50名未満と決められています。逆に50名以上勧誘した場合は、すべて公募型扱いになります。私募型の場合、勧誘できる対象が非常に限られているため、基本的には適格機関投資家向けに販売され流ことから、運用に関する規制が非常に緩いという特徴を持っています。適格機関投資家はプロの投資家なので、当たり前のことですが、個人に比べ、投資に対して一定水準以上の知識を持っていると認識されているからです。また、公募型を勧誘・販売する場合には目論見書の交付や運用報告書など、開示書類の作成が厳密に義務付けられていますが、私募型の場合は公募型に比べて開示内容などが緩くなっています。なお、私募型には特定少数の適格機関投資家を相手にした「適格機関投資家私募」と2名以上50名以下という、一般投資家でも勧誘人数を制限して販売される「一般投資家私募」があります。この一般投資家の定義には個人富裕層も含まれます。

 

 

私募投資信託のメリット・デメリット

 私募投資信託のメリットですが、前述したように目論見書などのディスクロージャー(開示資料)の作成義務がなく、勧誘するにしても公募投資信託のように広告費が必要ないことから、募集・販売にかかるコストを大幅に削減できます。投資信託を長期投資する場合、特にコストがリターンに大きく影響してくるのでコストが割安に抑えられるのは、それを購入する投資家にとっても大きなアドバンテージになります。

 ただ一方で問題もあります。一般投資家私募でも、案内・勧誘できる上限は49名までに限られています。このように少人数を対象にして販売される投資信託であることから、私募投資信託の最低購入資金は高くならざるを得ません。現実問題として2000万円程度の資金が必要と言われています。また、解約に際しても、一定の制限が加えられるケースが多く、個人マネーを運用するには扱いにくい面があります。