株式型と債券型

 投資信託の組入資産を資産クラス別に見ると、株式と債券が中心になります。株式のみ、債券のみで運用される投資信託もあれば、株式と債券を組み合わせて運用される投資信託もあります。

 

株式型と債券型の違い

 株式も債券も同じ「有価証券」であり、それを発行する側からすれば資金調達手段です。企業は株式や債券を発行して資金を調達し、設備投資などを行います。一方、それらを購入する側(投資家)にとっては、株式も債券も運用手段です。株式を保有すれば株価の値上がり益に加え、その企業の利益に応じた配当金が決算ごとに得られます。これに対して債券は、債券価格の値上がり益に加え、一定率の利子が得られます。

 株式と債券の大きな違いはリターンとリスクの度合いです。よく言われることですが、株式がハイリスク・ハイリターンの典型であるのに対し、債券はミドルリスク・ミドルリターンといったところです。

 株式は企業の業績次第で投資家に配当金が支払われますが、業績が悪化すれば配当が減らされたり、配当されなかったりします。これに対して債券の利子は毎回あらかじめ設定されている利率に応じて支払われます。つまり債券の方が安定したキャッシュフローが得られます。

 次に値動きですが、当然株価の方が債券価格に比べて大きくなります。その分、株式は大きう値下がりするリスクはありますが、逆に大きく値上がりする可能性もあり、大きなリターンを得られる可能性もあります。これに対して債券価格の場合、償還されるまでの間は債券価格が常の上下しますが、償還を迎えた時は、額面価格で償還金が投資家に支払われます。つまり償還まで保有し、途中で発光体のデフォルト(債務不履行)がなければ、元本は保証されます。この点でも債券は株式に比べて安全性が高いと言えますが、リターンは株式に比べて小さくなります。

 

株式投資信託と公社債投資信託

 投資信託にも株式を組み入れるかどうかで株式型投資信託と公社債投資信託に分かれます。株式を1%でも組み入れる仕組みになっていれば、全て株式型投資信託に分類されますし、一切株式を組み入れなず、国債社債などの公社債で運用するのであれば、公社債投資信託に分類されます。

 注意しなければならないのは、海外の債券を組み入れて運用する投資信託です。海外政府や外国企業が発行した債券を主要投資対象とする投資信託であれば、公社債投資信託に含まれてもおかしくはないのですが、実は公社債投資信託の場合、基準価格が1万円を割り込むと1万円を回復するまで追加設定ができないというルールがあります。追加設定できないということは、投資家から追加で資金を受け入れられないことを意味します。

 海外の債券市場に投資する投資信託は、当然のことですが、為替変動の影響を受けます。円高が進めば為替差損が生じて基準価格が下落するリスクが高まるのです。仮に円高が進み、基準価格が1万円を割り込めば、1万円を回復するまで追加設定が認められません。それを避けるため、海外の債券市場に投資する投資信託は株式を一切組み入れないにしても、約款上は株式を組み入れられるようにしてあえて株式型投資信託としているのです。ですから、「株式型投資信託」と分類されていても、実際の運用対象で見るとほとんどが試験で運用されている場合も多く見られます。分類だけで判断せず、しっかりと中身も確認することが大切です。

 

*公社債投資信託

具体的にはMRF、長期公社債投信がこれに該当します。かつてはMMFや短期公社債投信、中期公社債投信も公社債投資信託として人気を集めていましたが、今やいずれも償還され、運用されているのものはほとんどありません。