追加型と単位型

 運用開始後、同一の投資信託に追加で資金をいれられるかどうかによって、単位型と追加型に分けられます。単位が追加で資金を入れられないタイプ、これに対して追加型で追加で資金を入れることができます。

 

 

かつては単位型が主流だった

 投資信託の追加設定・解約については以前の記事をご覧ください。新しい投資信託が設定されるときは、まず一定の募集期間を経て資金を集め、設定日以降、徐々に組入資金を買い付けて運用開始となります。

 

 では、それ以降はどうなるのでしょうか?

 追加型であれば、同一投資信託を追加で購入できますが、単位型の場合は同一投資信託を追加購入できません。単位型投資信託はあらかじめ決められた設定日以降に、追加で同一追加資産を購入することは原則として認められません。投資信託1本、1本がワンユニットとして運用されています。したがって、単位型投資信託を購入する際には、設定日以前に一定の募集期間が設けられているので、その間に申し込み手続きをするとともに、買付資金を入金する必要があります。こうして買付資金が一定額までまとまったところで設定日を迎え、投資信託に組み入れる株式や債券などを買い付けます。

 同一投資信託を追加購入できるかどうかは非常に大きなポイントです。過去の運用実績が将来も続く保証は全くありませんが、追加型の投資信託であれば、これまでの運用成績や純資産総額の推移などをチェックし、その投資信託を購入するかどうかの判断基準にできます。

 しかし、単位型はスポット的に設定されるのが普通であり、こ運輸を検討する時点では過去の運用成績などを検証することができません。購入する時点では全く運用されていないので、過去の運用成績がないのは当然です。購入者縫い取ってはなんとも不便あ商品ですが、1980年代においては信託期間5年程度の単位型投資信託の中心でした。当時の株式市場が右肩上がりで上昇していたため信託期間が5年もあれば、ある程度のリターンを上乗せして償還することが出来たのです。ところが1990年代に入りバブル経済の崩壊に伴い、株価が急落しました。しかも株価は一向に回復の兆しを見せず、そこから「失われた20年」とも言われる長期低迷期に入って行きました。結果、かつては信託期間が5年もあればリターンが得られていた単位型投資信託は5年が経過しても元本である1万円を割り込んだままとなりました。それでも元本回復に対する期待から、多くの単位型投資信託は信託期間を延長しましたが、結局、延期した期日が来ても元本を回復できず、元本割れ償還を余儀なくされました。結果、単位型投資信託の人気は低迷し、追加型投資信託が中心となっていったのです。

 

 

資金流出に苦しむ追加型

 いつでも自由に小運輸でき、解約もできるという自由度が高い追加型投資信託ですが、問題点もあります。いつでも解約できるため資金流出が生じやすいです。追加型投資信託は信託期間が設けられているものでも10年以上で、中には信託期間を無期限にしているものもあるのですが、日本の場合、20年、30年と長期間運用されている投資信託は本当に少なく、多くの追加型投資信託が2年、3年という短期間のうちに繰り上げ償還されています。頻繁に乗り換えが行われるからです。乗り換えとは新しい追加型投資信託の新規募集が行われる時、それまで運用していた投資信託を解約し、その解約資金でもって新規の投資信託を購入させることです。最近は金融庁が乗り換えを抑制するよう、各金融機関に要望しているため、一時期に比べて減ったとは言われていますが、こうした手数料稼ぎを目的とした乗り換え営業によって、追加型投資信託は短命に終わるケースが多いのです。解約による資金流出は、運用成績の悪化につながる大きな問題だけに、追加型投資信託を選ぶ際には、できるだけ資金流出が少ないものを選ぶことが肝要です。

 

*追加型投資信託で資金流出が生じると、ファンドマネージャーは解約資金を作るためにポートフォリオを取り崩さなければなりません。たとえ将来性が期待される企業に投資していたとしても、解約要請には絶対に従わなければならないため、そういう銘柄も売却せざるを得ず、それが運用成績の低迷につながるのです。