販売金融機関の仕事

 投資信託を購入する上で最も身近な存在と言えるのが販売金融機関です。投資信託を購入する窓口となるとともに、解約金や償還金、分配金を受け取る窓口にもなります。

 

 

多様化が進んだ販売金融機関

 投資信託の販売金融機関は、かつては証券会社の専売特許でした。日本の投資信託は戦後、証券会社によって運用されていた時期があり、証券会社の一部門が切り離されて投資信託会社になった、という経緯があります。したがって、投資信託の販売を証券会社が行うのは自然の成り行きと言えます。

 こうして投資信託販売車が証券会社の専売特許だった時期が長く続きましたが、1990年代に入ってからは金融規制が緩和されるようになり、その一つとして投資信託販売の規制も緩和されていきました。

 こうして投資信託会社の直接販売が認められるようになりました。これが1992年4月のことです。ただ、可能になったとはいえ、実際に直接販売に踏み切る投資信託会社は少なく、運用実績もあまり伸びませんでした。直接販売が注目されたのは独立系と呼ばれる、金融機関と資本関係を持たない投資信託会社が自社運用の投資信託を直接販売するようになってからです。それでも直接販売されている公募型投資信託の純資産総額は2017年9月時点で7800億円程度ですから、全体に占める割合は0.75%程度です。

 投資信託の販売ルートが一気に多様化したのは、1998年12月に金融機関の窓口販売が解禁されてからです。その前哨戦として1997年12月から投資信託会社による直接販売の1方式として、銀行店舗の一部を借りて投資信託を販売する「間貸方式」が解禁されました。そして1998年12月にいよいよ銀行など金融機関による窓口販売が解禁されました。

 

 

中心的な存在は証券会社

 このように、販売金融機関お多様化が進んできたわけですが、中核になるのはやはり証券会社です。

 銀行の窓口販売がスタートしてから、徐々に銀行での販売根が増えた時期がありました。公募型投資信託の販売業態別の純資産総額を見ると、2008年5月が銀行系のピークで、約32兆円、この時のシェアは43%程度まで伸びました。同じ時期の証券会社の純資産総額が42兆円程度で、シェアは56%程度でした。銀行の窓口販売が始まった直後は双剣会社のシェアが90%程度でしたから、この間に銀行での販売が大きく伸びたことがわかります。

 現在は2017年9月のデータで証券会社が76兆円でシェアは72%程度。銀行は28兆円弱で、シェアは27%まで低下しています。ちなみに直接販売は8000億円弱でシェアは0.75%ですから直接販売で購入する人がいかに少数であるかが伺えます。銀行のシェア低下は、銀行が積極的に販売してきた「毎月分配型投資信託」への関心が薄まったことが一因と考えられます。

 投資信託の販売は今後、インターネット証券会社が中心になっていくと思われます。手数料が低く、種類も豊富で百円から積み立てられるという誰もが使いやすい仕組みを導入しているからです。加えて、iDeco(個人型確定拠出年金)の運用管理会社となり、格安の手数料を提示しています。今後、投資信託を検討の際には第一候補になってくるでしょう。